5月以降米ツアーで3度のベスト10入りを果たすなど好調の宮里藍が帰国し、所属契約を結ぶサントリーの大会(サントリーレディース)に出場した。米ツアーのメジャー、LPGA選手権を欠場しての今回の出場、宮里の心境を聞いた。
|
米ツアー優勝まであと1歩。朗報を待ちたい
|
今季は同じ週にメジャー第2戦マクドナルドLPGA選手権が行われており、たとえスポンサー絡みとはいえ、「この時期になぜ日本?」と首をひねる向きも多かった。
だが本人によると「これは去年から決めていたこと」と、スポンサーサイドのごり押しによる出場ではなかったことを強調。逆に、「私にとってはメジャーもサントリーも1つの試合。久しぶりにベストな状態で日本に帰って来られてうれしい」と瞳を輝かせた。
実は昨年サントリーレディスが行われた週、アメリカはオープンウィークだった。トンボ帰りで出場できないことはなかったが、体調のことなどを加味して欠場を決意。
だがその直後、「無理すれば出られたんじゃないだろうか?」という後悔の念がふつふつと沸き上がったという。
アマチュア時代から世話になりながら、ここ何年も出場できず、それでも文句ひとつ言わず「アメリカで頑張れ」と背中を押してくれたスポンサーに恩返ししなければ、という気持ちも膨らんだ。
「もう後悔はしたくない」
LPGA選手権とスケジュールが重なることが後から発覚したが、「サントリーに出場する」という宮里の気持ちは変わらなかった。
それにしても今シーズンはこの試合に帰国するまで米ツアー10試合に出場してトップ10入り5回。飛距離も昨年に比べ平均で15ヤード近く伸び、バーディ数も激増(合計145個でランク8位)。賞金ランクもトップ20圏内につけるなど、「強い藍」が戻って来た。
好調の要因を本人は「自分のタイミングを信じて100パーセントで振れている」と分析。
「ヘッドスピードはそれほど変わっていない」と言うが、メンタルコーチのピア・ニールソンとリン・マリオットの指導のもと、「もともと弱点だった」という下半身をトレーニングで強化し、スウィング全体のバランスが整ったことで「平均して距離が出る状態」を作れたのだとか。
「フェアウェイをあまり外していないので、グリーンに打っていけるチャンスが広がっています。パーオン率もアップしているし、全体的に噛み合ってきた感じ」と本人。
来日直前のステートファームクラシックでは初日90位タイと出遅れながら、3日目に5連続バーディを奪ってベストスコアを叩き出し、一気に優勝戦線に浮上(結果は6位タイ)するなど、爆発力もついてきた。
以前の宮里なら「こんなに調子が良いのに、なんで勝てないの?」という悔しさ先に立って、自分で自分にプレッシャーをかけていたところだが、最近は「ベストを尽くした結果なら勝てなくても仕方ない」と割り切って考えられるようになった。
だからたとえ勝てなくても「焦りはないし、結果に対するストレスがなくなった」と冷静そのもの。
国内女子の大会はギャラリーも多く、女子プロ人気は依然継続中。だが藍が帰って来るとファンの盛り上がり方は断然違う。たとえ優勝から遠ざかっていても華やかさとカリスマ性は以前のままという印象を強くした。
「日本でもアメリカでも自分の仕事をするだけ」と静かに闘志を燃やす藍。優勝争いとベスト10入りを繰り返すなかで、近い将来、日本のファンが待ちに待った米ツアー優勝という朗報を届けてくれるのではないだろうか。
|