米LPGAに新しいスターが誕生した。先の全米女子プロゴルフ選手権で、優勝したスウェーデン出身のアンナ・ノードクイストだ。アジア系選手の活躍ばかりが目立つ米女子ツアーで久しぶりの白人、しかも美人プレーヤー。米女子ツアーでスター誕生と注目されるのも無理はない。プロとしてのメジャー初挑戦で初優勝のシンデレラガールに迫った。
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スウェーデン出身の美人チャンプ、アニカに続く大物になれるか
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アニカ・ソレンスタムが競技ゴルフから遠ざかり、ロレーナ・オチョアもあるいは今年限りで引退するのではないかとささやかれるなかで、そのアニカに憧れてゴルフを始めたノードクイストが、プロ初優勝をメジャーで飾った。それも大会前日の水曜日(6月10日)に22歳の誕生日を迎えたばかりの若手だ。
といっても、大会前にノードクイストが優勝すると予想していたファンは、ほとんどいなかった。昨年のQスクールを25位で通過したノードクイストは、試合出場優先順位は、シーズン当初、今季は4試合程度しか出られないのではないかと思われていたのだ。それが出場5試合目で大金星を挙げた。
「何度かマンデーにも挑戦した。会場にいるのに試合に出られないというのは辛かった。自分が安定したプレーをしているのに出られないのだから。でも、それは良い経験になった。それで、より一層練習に励むことができたんだから」と本人が語るように、練習の成果が出て、ここにきて急速に力をつけてきていたのだ。
もともと、アマチュア時代のノードクイストは、かなり知られた存在だった。
2004年にはスウェーデンのジュニア最優秀選手に選ばれ、翌05年にはジュニアだけでなく、アマチュアの最優秀選手にも選ばれている。06、07年には全英女子アマで2位となり08年には優勝。
同じ08年には全英女子オープンにもベストアマを獲得している。07年にアリゾナ州立大学に入学し、この年にピンASU招待に優勝するなど、アマとして華々しいキャリアを誇ってプロ入りしているのだ。
全米女子プロでは、第2ラウンドからトップに立ち、第3ラウンドを終えた時点で2打差のリード。最終ラウンドは、リンジー・ライトとのマッチプレーのような様相を呈した。
ライトは、「メジャーで、以前にリーダーになったことがない新人が、すごいプレッシャーのなかで、これ以上望めないようなプレーをしたのだから驚くほかない」と語ったが、アマチュア時代の数々の優勝経験があったからこそ、「思ったより緊張することなく、リラックスしてプレーができた」(ノードクイスト)のだろう。
一時、1打差まで詰められたが、14、15番でバーディを決め、最終18番でもバーディ。結果は2位のライトに4打差、3位のシン・ジエに5打差をつける15アンダーで快勝した。
試合直前に、「1打1打に集中してゴルフを楽しめ」というアドバイスをアニカからもらい、そして優勝後にも祝福のメッセージが届いたという。
スウェーデンからアリゾナ州立大学に留学したのもアニカと同じなら、アニカと同じ学生タイトルも獲得している。初優勝がメジャーというのも一緒。まさにアニカの後継者の道を歩み始めているのだ。
実際、いまではアニカのコーチだったヘンリー・レイスのレッスンを受け始めたというから、アニカの進んだ道をまっしぐらといったところだ。
アニカと比較して、ノードクイストの平均飛距離は92位タイの250ヤード弱と非力なのが、大きな違い(アニカは全盛期の05年は263ヤードで4位タイ)だが、アップライトなスウィングはよく似ている。
飛距離については、180センチ強の長身であることから、まさにこれからが楽しみな逸材だ。シンデレラガールの今後に注目したい。
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