近年、全国のスーパーマーケットやディスカウントストアなどで、これまでには考えられなかった“価格破壊”が進んできた。そうしたなか、ゴルフのプレー料金にもその傾向が出始めている。平日朝限定スタートながらプレー代1000円というコースが出現した。果たして採算はとれるのだろうか?
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ライジングGCの税込み1450円料金、ゴルファーにはうれしい限りだが
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例えば、那須小川GC(栃木県那須郡)では毎週月曜日の定休日完全セルフプレーを2900円、また、平日早朝のアーリーバード(午前5時3分~38分のスタート)を1980円で設定している。
さらに、双園GC栃木コース(栃木県鹿沼市)では平日の昼食付プレーを3900円、早朝、アフタヌーンのスループレーを3000円としている。
この2コースの料金の安さにもビックリするが、もっと過激な価格破壊があった。ライジングGC(茨城県常陸大宮市)が、毎週水曜日の8時30分以前のスタートに限り打ち出した「水曜日1000円お客様感謝の日プラン」だ。
その名の通り、プレー料金は1000円。他に利用税400円とゴルファー保険50円がかかるとはいえ、それでも1450円でラウンドできるのだから、練習場よりも安い価格設定だ。
「今年4月1日のエイプリルフールに1日だけ1ラウンド1000円プレーを取り入れたところ、あまりの反響の大きさに引っ込みがつかなくなりました。それで、地元のお客さんへのPRになればとそれ以降も続けることに。今のところ8月末まで実施する予定ですが、すでに7月中は予約で一杯です」(ライジングGC・由佐憲一さん)
同ゴルフ場では火曜と木曜は、シニア、レディスは全日1000円という設定もある。
とにかく1円でも安くプレーしたいゴルファーにしてみれば、1000円というのはウソのような夢の価格。あまりの安さに地元客がなかなか予約できないというのも当然だろう。
ライジングGCの思い切った価格設定には、近隣のゴルフ場も、「1000円というのは、私どもには考えられない価格。値段で競い合っても仕方がありませんから、お客さんにはそれよりもコースのグレードと満足度で勝負したいと思っています」(ロックヒルGC営業担当者)
と、半ば諦め顔だ。もちろん、1000円では採算などとれるはずもなく、対抗しようにもできないというのが実情だろう。
しかし、こうした最近の価格破壊に対して、こんな意見の人もいる。
ゴルフ場経営に詳しい、近隣ゴルフ場のオーナーは、「価格破壊というのは、あくまでも企業として経営が成り立つ上での価格破壊であり、そうでなければ、ただの投げ売り。しかし、1000円はもちろん、2000円台、3000円台では、どう考えても利益が出ているとは思えない。むしろ、持ち出しになっているはず。コースを遊ばせておくくらいなら料金を安くして、少しでもいいから日銭を稼ぎたいという考え方は、結局、ゴルフ界のためにはならないのでは?」という。
不況の折、ゴルファーには、もちろん安ければ安いに越したことはないが、その裏にはいろいろと問題もありそうだ。
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