ランニングやウォーキングブームを背景に売上げを伸ばしてきたアシックスと、カジュアルサンダルを爆発的にヒットさせたクロックス。業績好調な2社が相次いでゴルフシューズ市場に本格参入する、それぞれの目論見を探ってみた。
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サンダル形状の『エースゴルフ』。ターゲットはずばりニューカマーとか
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多機能樹脂素材のクロスライト、甲部分の通気孔、サンダルのようなヒールストラップなど独自のデザインを踏襲しながら、靴底に一体成型のスパイクを配したユニークなゴルフシューズ『エースゴルフ』を3月に発売したのがクロックス。
そのゴルフシューズらしくないデザインと4980円という価格が話題となっているが、そもそも、これまでカジュアルシューズ専門で展開してきたメーカーがなぜゴルフシューズ事業に乗り出したのだろうか。
昨年、世界全体で800億円の売上高を達成した同社では、さらなる事業拡大を図るべく、今年から、よりデザイン性を重視した「クロックススタイル」、スポーツラインの「クロックススポーツ」を展開している。
同社は、これに先立ってゴルフ、ランニング、釣りなどで実績のある米バイト社を買収。クロスライトとバイト社の技術を融合させてでき上がったのが『エースゴルフ』だ。
一見ゴルフシューズに見えない『エースゴルフ』のターゲットはずばり新規参入層。
「スコアを競うような人よりは、もっと気軽に、例えば海外のリゾートでゴルフを楽しんだり、練習場やショートコースに出かけたりするような人」(広報担当・井口氏)だ。
同時に、『エースゴルフ』のデザインに抵抗のある人や、競技志向のゴルファーにも対応できるモデルも用意されている。こちらはスニーカータイプのデザインで、中敷きにクロスライトを使用することで、軽さや通気性のよさなどクロックスらしさが盛り込まれている。
今年から片山晋呉とアドバイザリースタッフ契約を結んだのを機に、ゴルフシューズビジネスに“復帰”するのはアシックス。同社は、01年にゴルフクラブ事業から撤退した後、ゴルフシューズも直営店で取り扱うだけの休眠状態だったが、今年中に片山レプリカモデルを2万円前後で発売する予定だ。
かつて、足の故障をカバーするため尾崎建夫が愛用するなど同社のシューズに対する評価はプロの間でも高かったが、さらに今回のモデルは最新の動作解析技術や片山からのフィードバックを生かした高機能シューズとなる模様だ。
「今は、ただ安いだけでは無駄なモノに手を出さないけれど、高価でも機能や特色があれば売れる時代。ゴルファーがどう反応するか、興味がありますね」と語るのはショップ、ゴルフニューオーシカの大鹿寿一社長。
価格と独自性のクロックス、高機能のアシックスが既存のシューズにどう挑むか見ものだ。
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