「一体今日が何曜日で、何ラウンド目をやっているのかわからなくなった」とタイガー・ウッズを始め多くの選手が不満を口にした。第109回全米オープンは猛烈な悪天候に襲われて、豪雨と日没サスペンデッドが繰り返された結果、大会は月曜日までの5日間にわたって行われたが、選手たちは初日から気まぐれな自然の変化と難コースに翻弄された。
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初日、午前スタート組で雨に泣いたタイガー
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まずその天候だが、初日(6月18日)は50ミリを超える雨のために2番から11番ホールまでは洪水状態となり、ギャラリーの1人が雨水のたまったグリーンにダイブする写真がタブロイド紙に掲載されていたほどだった。
優勝したのはノーマークのルーカス・グローバーだったが、ニューヨークポスト紙が「ドライ(雨の降らなかった)ゴルファーは大きな得をした」と書いていたように初日の午前組と午後組のペアリングで明暗をはっきりと分けることになった。
「午前組」と「午後組」を現地マスコミは「ファーストウエーブ」(第一波)と「セカンドウエーブ」(第二波)と表現する。
「ファーストウエーブ」は木曜日午前、雨のなかでスタートしたタイガー・ウッズらの不運な組のことで、「セカンドウエーブ」は午後組で全くプレーしなかった幸運組を意味している。
優勝したグローバーはミケルソンやリッキー・バーンズ、デビッド・デユバルらと同じ午後組で、クラブハウスまで行かずに、ホテルの部屋でテレビを見ている間にサスペンデッドが決まり、翌日プレーに備えることができた。
2ラウンドを回った段階で通算3アンダー4位タイだった矢野東も幸運な「セカンドウエーブ」で、タイガーと同じように「今日が何曜日で、何ラウンド目なのかまったくわからなくなった」とコメントを出している。
木曜日午前スタート組の第2ラウンドが翌日の金曜日でなく、土曜日になったというのもペアリングの不思議でもある。
初日のペアリングで一番早い組は2日目には最も遅い組に回るというペアリング上のルールに従わなければならないからだ。これでタイガーはスタート時こそ雨に降られなかったが、その後はまたもや雨まじりのなかでプレーしなければならなかった。
実際に今回、上位9位に入った選手で雨に祟られた「ファーストウエーブ」はタイガーとステンソンの2人だけ、天気の状態が良かった翌日金曜日午後に第2ラウンドをプレーした「セカンドウエーブ」は優勝したグローバーを始めデュバル、ミケルソン、バーンズなど7人にのぼった。
明らかにペアリングによって運・不運がつきまとっていたことになる。
土曜日もグローバーにとってはラッキーだった。夕方近くになって降り出した雨と日没で、午後7時13分にサスペンデッドが決定、雨中プレーを回避できる幸運に恵まれた。
第4ラウンド以降の展開は曇り模様で、日没サスペンデッドがあったものの大きなハプニングはなかった。
グローバーは、同じ初日「セカンドウエーブ」組のミケルソンの猛追にあったが、そのミケルソンは17番パー3のボギーで脱落。
結局、グローバーは1R(69)、2R(64)の貯金がきいて優勝。
雨に泣いた人と笑った人の違いが明白に出た全米オープンだった。
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