仕事をリタイアした60代以降のゴルファーを対象に、ゴルフ場でのボランティア活動に参加してもらい、作業時間に応じて得たポイントをグリーンフィに還元しようという“活動”が注目を集めている。
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練習場の球拾いや除草をしてプレー権がもらえるシステム、これっていいかも!?
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この活動を行っているのはNPO法人ゴールデンアカデミー。
日本経済の発展に貢献してきたシルバー世代の知恵や経験、ノウハウを社会に有効活用できる場を与えることを目的に、同アカデミーが設立されたのは04年12月。
当初からゴルフに関する事業を検討していたが、07年11月、仙台地区でのボランティア活動を開始。目土、草むしりなど1日約5時間の軽作業をすると平日1ラウンドの無料プレーが代価として与えられるというシステムを採用した。
ボランティアになるには同アカデミーに登録し、年会費として初年度3500円(保険料込み・次年度以降2000円)が必要となる。
現在、登録者は約150人。受け入れコースはマグノリアCC、オニコウベGC、古川CC岩出山コースなど8コースあり、そのなかの一つ、秋保CCの小塚直樹副支配人は、
「月に1回、20人ぐらいの方に18ホールの目土作業をやっていただいています。コース管理の人出不足が解消でき、私どもとしては大変助かっていますし、ボランティアの方を通じて当クラブのPRにもなり、来場者アップも図れます。ゴルフ場、ゴルファーの双方にメリットのあるいいシステムと思います」
と、この事業への期待の大きさを語る。
同アカデミーでは、仙台地区の成功を踏まえ、この3月からは関東地区でも開始した。
埼玉県さいたま市のノーザンCC錦ヶ原ゴルフ場では約30人のボランティア会員が交代で、1回約3時間かけて練習場の集球作業を担当、1時間1ポイントで5ポイントたまると平日のグリーンフィが無料になるという。すでに5ラウンド分のポイントをためたゴルファーもいるという。
しかし、料金面ばかりに関心が集まってしまうことは心外だと、同アカデミーの野々宮恵司理事長はいう。
「これまでゴルフを楽しんできた人たちがリタイアすると、どうしてもゴルフをする機会や仲間を失いがちになってしまいます。そこで、そうした人たちにゴルフを続ける環境づくりのお手伝いをしたいというのが大きな目的なのです。ですから、受け入れてくださるゴルフ場にもパートを雇うような気持ちだったら止めてくださいといっているんです」
同様の、ボランティアをしてプレー権がもらえるという活動は、パブリックの山形県県民ゴルフ場(山形県最上郡)でも実施している。こちらは年齢には関係なく、コースのディボットの補修や除草などの軽作業を行うボランティが現在13人登録しているという。
ただこういうボランティアシステムは、数年前、城里GC(茨城県東茨城郡)や日の隈CC(佐賀県神埼市)でも導入、当時話題となったが、ゴルフ場が直接人集めを行っていたために人材の確保がうまくいかなかったこともあり、現在はどちらも中止してしまっている。
その点、NPO法人が間に入っているので、そうした面は解消されるかもしれない。
ともあれ、シルバー世代とゴルフとの新しい関係を作ってくれる試みといえる活動だけに、今後、全国に広がることを期待したい。
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