(株)アコーディア・ゴルフは日東興業(株)より受託し、年会費の請求を致しております」――。アコーディアから送られてきた年会費の請求書に書かれたこの文言。とっくに消滅したはずの日東興業が、なぜ年会費を請求してくるのか?
「年会費の払い込み請求書に日東興業の名前が出ていて、今頃一体何なのかと思った」――。こう語るのは、アコーディアグループ傘下のセントラルGCの会員A氏。
セントラルGCは旧西野商事系なので、日東興業からの請求は二重におかしい、と思ったわけだ。しかも振込先口座はSMBCファイナンスサービス。アコーディアの口座ではない。
このからくり? を調べてみると、こうなる。
まず、SMBCファイナンスサービスは、三井住友銀行のグループ傘下の集金代行会社。
会員総数約20万人のアコーディアが、請求書の送付や着金確認といった、年会費の集金業務を自前で、ミスなく遂行することはほぼ不可能に近い。従って集金代行会社に事務を委託するのはごく当たり前のことだ。
次に、なぜ「日東興業からの受託」でアコーディアが年会費の集金をするのかだ。
アコーディア本体は、日東興業やスポーツ振興、琉球リゾートなど、子会社の株式を保有する持株会社であるとともに、それらの子会社からゴルフ場運営業務を受託している。
ゴルフ場施設は今も子会社である日東興業やスポーツ振興などの名義のまま。年会費も運営受託会社であるアコーディア本体ではなく、子会社に入るようになっている。
アコーディア本体は利益が出ていて、税務上の繰越欠損金はない。これに対し、日東興業などの子会社はもともと破綻した会社だから、税務上の繰越欠損金が残っている。
アコーディアは連結納税を行っていないので、決算は連結で発表するが、税金は会社ごとに会計処理をして納付する。
このため、子会社の税務上の繰越欠損金を有効に使うには、「アコーディアに子会社群を吸収合併させず、存続させておいたほうがいい」(税理士)。
また、2006年1月、西野商事や東和ランドなど8社を日東興業に吸収合併させている。
旧西野商事のコースの会員A氏のところへ、“日東興業からの受託”で請求書が届いたのはこの合併のためだ。
税務上の繰越欠損金はグループ全体で、今年3月末時点であと145億円ほどある。このまま増えなければ、あと2期で使い果たす計算になるが、今後破綻コースを買い増しし、この額が増えると使い果たす時期はまた多少伸びる。
「正確さを期すための表記」(アコーディア広報)だが、開場当時からの会員や、アコーディア傘下に入る以前からの会員で、破綻を経験している会員にとっては、日東興業という名は、今も複雑な思いがすることは想像に難くない。
なんとかすっきり整理はできないものか――。
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