ウェグマンズLPGAはシン・ジエが優勝、早くも獲得賞金が100万ドルを超え、賞金女王争いのトップに踊り出た。この試合では、宮里美香と宮里藍が、各4位タイ、15位タイと好成績をあげ来季のシードをほぼ確定させた。その一方、米LPGAツアーは来年の大幅試合減で、日本ツアーに目を向けている選手も多いという。女子ツアーで起きている“異変”を追った。
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米LPGA開幕戦SBSオープンも消滅。韓国人選手の大挙来襲はあるか?
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6月末現在、宮里藍は約33万ドルを稼いで賞金ランキング19位。宮里美香もこの大会で8万4906ドルを稼いで、今季合計約20万ドルとなりランキングを32位に上げた。米LPGAのシード権はランキング80位まで。昨年の80位はW・ドーランという選手で13万7542ドルを稼いだが、今季は試合数も減っており、2人の宮里とも来年のシードに当確したといってもいいだろう。
上田桃子は、11万7080ドルを稼いで49位、大山志保は8万4315ドルで現在61位。順位的には、シードは大丈夫のように思われるが、まだ確定ラインには達していない。
その一方で米女子ツアーのプレーヤーの多くは、賞金ランキングの20位以内に入ることを目指しているようだ。
そして米LPGAツアーほど試合数が減らない日本ツアーに矛先を変えてくる選手が多いという。
その背景には、「日本のQTは、1次からファイナル(4次)までありますが、米ツアーの賞金ランキングの1位から20位までは、3次まで免除され、ファイナルに直接出場できる」(JLPGA広報・大谷英明氏)という事情がある。
米LPGAツアーは、昨年からすでに4試合(フィールズオープン、ギントリビュート、ギンオープン、セムグループ選手権)が消え、さらにコーニングクラッシック、SBSオープンが今年限りで終わることが決まっているうえ、マクドナルド全米女子プロ、ツアー選手権、それに今季末の中国の試合のスポンサーが決まっていない。
「何が起こっても不思議ではない。収益が非常に悪化している試合を多く抱えているうえ、LPGAとの契約が切れる試合が数多くある」とトーナメント主催者協会のゲイル・グラハム会長が語るように、世界不況の中で、米国では今季で契約が切れる試合が12試合あると伝えられている。
もし、この12試合がすべてLPGAとの契約を打ち切るとしたら、全試合数の3分の1以上が、来季になくなってしまうのだ。
となると、米女子ツアーのプレーヤーたちは試合を求めて、日本に大挙押し寄せることになる。実際、日本への問い合わせが増えているのだ。
「まだ、人数は発表できないが、日本のQT受験についての問い合わせはアメリカや韓国などからいろいろ来ている」(前出大谷氏)とかで、ポーラ・クリーマーも、今年12月の日本のQTの最終戦を受験するという噂まで聞こえてきている。
ウェグマンズに優勝のシン・ジエも、賞金女王を狙える位置にいるにもかかわらず、日本のLPGAのメンバー資格を維持することを考えているようだ。
「外国人プレーヤーは、スポンサーの推薦枠で年間4試合、日本の試合にも出場できますが、シン・ジエの場合も推薦枠の試合で優勝して、会員資格を獲得しています。今年は、海外登録をしていますので、日本の試合には、全試合の20パーセント、7試合に出場しなければなりませんが、すでに3試合出ているはず」(前出大谷氏)ということで、秋に開催される米LPGAの日本や韓国の試合に合わせて、日本の試合に出場すれば、メンバー資格を維持することができる。
昨今の円高も、日本の試合を魅力的にしている。現在の日本の賞金ランキングのトップは、横峯さくらの7578万円だが、これを1ドル95円で換算すれば、80万ドル近くになる。
この金額は、米LPGAではランキング4位に相当する。米ツアーのトッププレーヤーにすれば、日本で稼ぎたい、と思っても不思議ではない。
さて来季のシーズン、どうなっているのだろうか。
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