「オープンコンペ」というと、かつては用品メーカーなどをスポンサーとする集客目的の営業イベントのイメージが強かった。だが、最近はオープンコンペを通して、参加者に“ファン”になってもらおうと企画するゴルフ場が増えてきた。今どきのオープンコンペは、一度試してみてもいいかも。
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クラブハウスに県人会のオープンコンペの告知も(鎌倉パブリックG)
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ゴルフ場運営コンサルタントの菊地英樹氏は、「以前のオープンコンペは、一般に用品メーカーなどの冠スポンサーに賞品を提供してもらい、告知してもらって、お客を集めることが目的でした。でも、そうしたオープンコンペは、今のゴルファーには魅力がありません。プレーするだけなら、買い手市場ですから。今はゴルファーの囲い込み、つまりいかにゴルフ場のファンになってもらうかを考えてのイベントなんです」と最近のトレンドを説明する。
オープンコンペを週2回以上のペース、年間130回も開催しているゴルフ場がある。島根県の出雲空港CCだ。
「基本的に、今は仲間を3人集めるのが難しくなってきたんですね。ゴルフをしたい。でも、仲間がいない、とおっしゃるゴルファーの声に応えて、お一人でも安心して参加できるようにと開いているのが、うちのオープンコンペです」(中里三郎支配人)
同CCでは、コンペ参加者(リピーターが多い)の要望をできるだけ聞くようにし――例えば、同世代と回りたいとか、同レベルのゴルファーと回りたいといった――次回は、その要望に沿った組み合わせをするなど、きめ細かなコンペ運営をしている。それが年間130回もあるのだから、プレーしたくなったら即申込むといったオープンコンペになっているようだ。
そして、そのなかでも人気があるのが、月1回開催される従業員が参加するコンペ。「お客様と従業員の距離が縮まり、お互いの立場を理解する関係になったと思います」(中里支配人)。まさしく、ファンになってもらうオープンコンペだ。
週1ペースで開催の多古CC(千葉県)も、一人での参加者が多い。20組のうち6~7組は単独申込者という。
「でもそれで、ご一緒された方と交流を深めて、というケースはほとんどないんです。パーティにも参加されない方も多いですし、ただゴルフがお好きで、という人が増えたみたいですね」
もう一つが、女性参加者が増えたことによる変化だ。
週1~2回のペースで開催の鎌倉パブリックGは「女性ゴルファーが増えるとともに、オープンコンペの参加者も増えてきました。最近は初心者でお一人で、という方もいらっしゃいます」(阿部江美子支配人)
同ゴルフ場では、その女性に気持ちよく参加してもらうとともに、賞品にも工夫を凝らしている。
「女性には、無料プレー券とかお食事券といった、実用性のあるものが喜ばれますね」
前出の菊地氏も、「特に女性には、いかにお得感の感じられる参加賞や賞品を揃えるかということが大事です」と語る。
かつてはゴルフ場に敬遠されていた一人客や、女性客に優しいという変化の象徴が、今のオープンコンペのようだ。
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