懐にはやさしいセルフプレーにも、キャディさんのアドバイスが受けられないというハンディがある。それを補ってくれるツールとして、ゴルフ用に開発されたGPS機能がついた機器が距離測定器に参入。戦国時代を迎える距離測定器の戦いとは。
|
隠れたハザードも表示可のイーグルビュー(左)、防水機能付いたショットナビポケットネオ
|
セルフプレーでほとんどのゴルファーが不便に感じているのは、残りの距離の計算や番手の選択を自分で行わなくてはならないこと。いくら上手くボールを打てたとしても、距離と番手が合っていなければ、ナイスショットにはならない。
ゴルフ場では、来場者のプレーをアシストするGPS機能付きゴルフカートを導入していたりするが、それでも、フェアウェイに乗り入れられなかったり、乗り入れ可能なコースでも、毎回、自分のボールの側にカートをつけるのは難しかったりする。
そこで登場したのがゴルフ専用携帯GPS距離計だ。基本的な仕組みはクルマ用のGPSナビと同じで、3~4個のGPS衛星からの電波を受信、それぞれの衛星との距離を元に現在位置を測定し、本体メモリーに記憶させたゴルフ場のレイアウトデータと照合して、ピンやグリーンエッジ、ハザードまでの距離を表示する。
それに、毎ショットの飛距離を表示する機能や、防水性など、ゴルフに特化した機能を持たせているのが特徴だ。
気になるのは測定精度だが、どの機種でも距離の誤差は1~3ヤード程度といわれている。1ヤード単位で正確に打てるアマチュアはまずいないし、実用的にはまったく問題ないレベルだ。
ゴルフ用GPSナビ市場で先行しているのは、昨年発売された『ショットナビポケット』(実勢2万9800円・パー72プラザ)と『グリーンオン』(3万2800円・MASA)で、累計販売台数は両社合わせて既に7万台を突破。
さらに今年8月初旬から『イーグルビュー』(実勢2万4900円)で新規参入する朝日ゴルフ用品は、「正確な距離がわかればゴルフがものすごく簡単になると実感できます。ゴルファー人口が800万人としても、ゴルフ用GPS距離計の普及率はまだ1パーセントにも達していないのでまだまだ伸びる市場。第一のターゲットであるコア層が40万人なので1年間で10万台は売っていきたい」(企画部・内本理己氏)と鼻息が荒い。
一方、先行するレーザー距離系もモデルにも、コースの勾配を計算に入れた推奨距離を表示できるハイテク機『ピンシーカー・スロープツアーV2』(実勢4万9800円)が登場。市場においては、開発競争、サービス合戦が激しくなっている。
パー72プラザでは、従来品をよりコンパクトにして使い勝手の良さを追求した『ショットナビポケットネオ』(実勢2万790円)を7月21日に発売するほか、「ハザードの表示やドッグレッグホール対応の『ショットナビプロ』を8月に、コースのフルレイアウトを表示できる『ショットナビアドバンス』を9月に発売する予定」(パー72プラザ・村上未奈氏)でライバルを迎え撃つ格好だ。
ほかにも、携帯電話でGPS機能を使って距離計算できるものもある。ゴルフダイジェストオンライン(GDO)とKDDIが共同で開設した『auスマートゴルフ』だ。距離計算するにはシャープ製の携帯が必要だが、新しく測定器を買わなくてもいいメリットはある(月額利用料は必要)。
正に戦国時代の距離測定器、生き残りをかけた戦いが始まった。
|