2月12日のSBSオープンから始まった09年米女子ツアーも約半分の日程を消化した。米ツアー挑戦の上田桃子は、ここまで最高成績が11位タイ、賞金ランクも38位と実力を発揮できない状況だ。今年上半期までの調子を全米女子オープンでコーチ江連忠が分析・診断した。
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桃子らしさを発揮して、がんばって欲しい!
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――上田桃子選手のアメリカツアー2シーズン目、コーチとしてどのように見ていますか?
江連 昨年のテーマは友だちを作ること、コースを知ること、ホテル、レストランを覚えること、そして英語を身につけることでした。その上で今年は明確に“ アメリカツアーで勝つ”をテーマとしてやってきました。その意味では現時点まで勝っていないし、また優勝争いすらしていません。敗軍の将、兵を語らずで、あまり多くを語るべきではありません。目標を達成できなかった理由を精査し、残るシーズンの課題としたいと思います。
――勝てなかった理由はどこにあると分析していますか?
江連 メジャー2戦目の、マクドナルド全米プロの終わった6月中旬に、急きょ帰国させました。技術的にはアプローチ、パターに悩みが生じていたからです。おそらく彼女のゴルフ人生でも最大の悩みだったに違いありません。技術的な問題以上に、桃子らしさを失っていた。そこで思い切って帰国させたのです。
――失っていた桃子プロらしさとは?
江連 桃子が世界で通用するものといったら、なんといっても豪快さであり、思い切りの良さです。あのアドレスで獲物をとらえにいくかのような迫力は、ボクは世界クラスだと思っています。ところがボクの代わりにマクドナルドに派遣したスタッフからは、プレーが遅い、首を傾げているシーンが多い、下を向いて歩いている……と、およそ桃子らしくない報告ばかりでした。そんな桃子は桃子ではないし、何より世界に通用などするはずもありません。
―― 昨年までA・ソレンスタムのキャディであったテリー・マクナマラ氏と今年からコンビを組んでいますが、彼との関係が上手くいっていないのでは、との指摘もありますが。
江連 テリーはアニカの前に小林浩美プロのキャディもしていてアメリカツアーで4勝を挙げています。その上で「桃子で最低5勝、できれば(岡本綾子氏の17勝を凌ぐ)18勝とメジャー勝利をボクのキャディ人生の花道にしたい」とまで言ってくれた。本当に桃子のゴルフが大好きだし、それは桃子自身、自分を高めてくれる、強くしてくれるために必要なパートナーだと確信しています。ただ、その期待に応えようとするあまり、空回りしてしまったのも確かでしょう。まだまだ英語にも難がありますから、コミュニケーション面に不安があることも否めません。 しかし登山で頂上を目指すとき、常に上りだけですか? 下りながら頂上に向かっているときだってある。桃子にとって、今はそういうときなんです。 ただ本当に勢いで突っ走ってきただけに、カベにぶつかった初の体験に戸惑っていたんでしょう。
―― その辺は払拭できましたか?
江連 全米オープンの最後の晩、桃子は言いました。「アメリカで勝ちたい! 先生、出られるだけアメリカで戦っていいですか?」と。桃子らしさが戻ってきたので、ボク自身はもう安心しています。あとはその思いを抱き続け、やるかやらないかだけですよ。
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