先々週の日本アマで、あわや最年少優勝の歴史的快挙寸前の準優勝となった末恐ろしい13歳(神奈川・湘南中2年)、伊藤誠道クンとはいったいどんな少年なのだろう。伊藤クンが2歳のときからゴルフを教える元レッスンプロの父親・一誠氏と現在の指導者、ツアープロコーチの内藤博史氏に話を聞いた。
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秋の日本アマが楽しみな伊藤誠道クン、第2の石川遼になるか
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今回の決勝敗退について、誠道クン本人は試合後、「体力的にダメでした。疲れが取れずにラウンドしました。今日は最初から緊張してしまって……。メンタル面も鍛えないといけませんね」と心身両面での至らなさを口にしていた。
だが、それに対して一誠氏は、「相手の宇佐美(祐樹)クンが一枚上でした。誠道も精一杯のいいゴルフをしてました。だから、悔しいという思いはありません。何が足りなかったというより、今回はどれだけ多くのことを勉強できたか。ですから、試合後はすぐに宇佐美クンにお礼を言いました」と満足気に語る。
実は、試合後も「言い訳になるから……」と明かされなかったが、当日の誠道クンのコンディションは最悪だった。前日、雨中での準々決勝・準決勝で、足の裏に多数のマメができ、それが水ぶくれになった。 そのため、前夜に宿泊先で針を借りてつぶしたのだが、当日は終日痛みを感じながらの戦いだった。
それでも満足しているのは、大会前から伊藤親子は、今回の目標を今秋の日本オープンのローアマ獲得につながる経験に置いていたからだ。
「その点では、期待以上の経験ができました」と一誠氏。こう紹介すると、親が無理やり高い目標を押しつけているようだが、昨年から伊藤クンを指導する内藤コーチは「伊藤クン自身が常に高い目標を置いて取り組む子なんですよ」と感心する。
内藤コーチによれば、現在伊藤クンは神奈川県藤沢の自宅から東京・六本木の練習場まで1時間以上の時間をかけ、週3回のペースで通っている。
また、内藤コーチは、中学卒業までは好きなように、のびのびとスウィングさせるつもりだったのが、「伊藤クンがプロの試合を経験して、それまでのフック系のボールではツアーでは戦えないからフェードに変えたいって、自分から言ってきたんです」と、彼の自主性を証言する。
そして、驚かされるのはフェードに変えた今も飛距離は平均290ヤード近いこと。身長165センチの細身の体格で、しかも身長を伸ばすことを第一に、今は筋トレを一切禁止しているにもかかわらずだ。飛ばすことに非凡な才能があるのだろう。
内藤コーチはその点を認めたうえで、「心臓の大きさにも驚かされます」とメンタルの強さにも感心する。
かねてから「人に破られない記録を作りたい」と宣言する伊藤クンだが、その夢を本当にやってのけそうな勢いを感じる。
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