ゴルフ界の目が全英オープンに向けられているなか、その前週に注目すべき偶然が重なった。新旧のドイツ人プロが、同日優勝を果たしていたのだ。米シニア、チャンピオンズツアーの3M選手権に優勝したベルンハルト・ランガー(51)と欧州ツアーのバークレイズ・スコッティシュオープンに優勝したマーティン・カイマー(24)だ。
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ランガー(上)が期待するカイマー(下)。イケメン顔でドイツの華になるか
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カイマーは、その前のフレンチオープンに続いての2週連続優勝で、欧州ツアー通算4勝。ランガーは、彼が参戦したトリトン・ファイナンシャルクラッシックに続いての2連勝で今季4勝目。偶然とはいえ、何やら足並みをそろえて連勝街道を進んでいるような雰囲気だ。
バークレイズでのカイマーは、「調子はあまり良くなかったが、ショートゲームが最高だった」と語っていたが、昨年、ランガーに「ウェッジのプレーがもう少しうまくなれるはず」と言われて、ランガーのアドバイスを受け、上達の成果が出てきた。
「ドイツにおけるゴルフの火を絶やさずに、未来に受け継いでくれる人間が現れた」とランガーに“後継者”として期待されているカイマー。昨年は、ライダーカップに出場できなかったものの、ランガーの強い推薦を受けて、ヨーロッパチームのキャプテン、ニック・ファルドが、カイマーを観戦に招待した。
2年前、07年の欧州ツアーの新人王に輝き、昨年はアブダビゴルフ選手権とBMWインターナショナルで優勝。良い時と悪い時の差が激しく、昨年のアブダビとBMWの次の試合ではともに予選落ちを期している。今回のバークレイズでは、ようやく安定した強さを発揮できるようになったといえるだろう。
「攻撃的なプレーをするのはいいが、同時にタイガーやミケルソンのように賢いプレーをしなければいけない」というランガーのアドバイスが身につき始めたということなのだろう。
ヨーロッパツアーの賞金ランキングでは、カイマーはルーキーの07年に41位となり、昨年は8位、そして今年は現時点で2位。今回の勝利で、カイマーはワールドランキングで11位となり、トッププレーヤーといわれるのに、もう一歩のところまで来ている。
一方のランガーは、米シニアツアーをまさに席巻している。3M選手権では、最終ホールで、グリーンサイドから6メートルのイーグルを決めて優勝した。
「少し強かったが、ボールはカップの奥に当たり、数センチジャンプして吸い込まれた。キャディに打つ前に必ず入るといったが、絶対に外さない自信があった」と自信満々。今季は、12戦して4勝を含めてトップ10に入ること9回。すべての試合でトップ25に入っているのだ。
獲得賞金も149万ドルを稼ぎ出し、2位のアンディ・ビーンの74万ドルの2倍以上。まさに昨年に続く、賞金王にまっしぐらだ。昨年のランガーは3勝して203万ドルを稼いで、シニアの賞金王となっているが、米シニアツアーの方は、これからが本番。
今週の23日から全英シニアオープン、30日からの全米シニアオープンと続き、8月にはトラディション、10月にはシニアプレーヤーズ選手権と5つあるシニアのメジャーのうち、まだ4つも残っているのだ。
このままいけば、2002年にヘール・アーウィンが作った302万8304ドルという年間の最高獲得賞金額を書き換える可能性まで出てきている。
どちらかといえばドイツはゴルフ後進国。そのドイツ出身の新旧のスターの活躍、これからが期待される。
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