4~6月期の経済成長率が7.9パーセントまでV字回復し、世界不況からいち早く抜け出した中国。いま、日本のゴルフ用品メーカーは、中国のマーケットに熱い期待を寄せている。実際、日本製の超高額クラブが売れている実状を追った。
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中国では23万1000円のマジェスティが大人気という
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ゴルファー人口は約100万人といわれ、日本のわずか10分の1。にもかかわらず多くのメーカーが熱い視線を投げかける大きな理由としては、ドライバーでいえば1本20万円を超えるような超高額クラブが売れ筋となっていることが挙げられる。
東南アジアのプレミアムクラブ市場で独り勝ちといわれているマルマンでは、「エントリーモデルからプレミアムクラブまで多様なブランドを輸出しているなかで、『マジェスティ』が70パーセントを占めています」(マルマン・桑木野洋二氏)
また、日本製高級クラブの代名詞的存在として扱われてきた本間ゴルフでも、「(最高級の)5スターグレードは日本の2倍、4スターグレードに至っては日本の20倍以上は売れています」(本間ゴルフ海外事業部・小田内久希氏)というから驚きだ。
このほかエスヤードも、最上位モデル『アクロクラス』の人気が最も高い。
超プレミアムクラブがもてはやされる理由について、中国のゴルフ事情に詳しいチームヨシムラの吉村忠義社長はこう語る。
「一時期流行ったコピー商品も一巡して、今では本当にいいものを欲しがる人が増えています。富裕層といわれる人も日本人の常識とはかけ離れたお金持ちが多くいるのが中国。また、中国にはクラブを贈答品にする習慣がありますが、その対象となるのはセットで100万を超えるクラブです。7、8万円とか10万円を少し超える程度の中途半端なクラブの販売は落ち込んでいます」
これまで、この手のクラブで大きなマーケットだった韓国は、ウォン安の影響で一時期ほとんど輸出がストップ。回復基調にはあるものの、市場としては成熟しているだけに今後飛躍的に伸びることは考えにくい。これに対して、世界的な景気後退の影響が少なかったのが中国だ。
「一時的に3カ月程度マイナスになったが、その後の売上げは好調で、対前年20パーセントの伸びです」(マルマン・桑木野氏)
「中国市場では毎年20パーセント程度の高い伸びを維持しています」(本間ゴルフ・小田内氏)
中国政府が昨年11月に打ち出した約56兆円の公共投資が功を奏し、経済成長は7月以降も続くとみられている。
また、株や不動産市場が活況を呈し、今後、中国の富裕層は毎年10パーセント程度増えるという見方もある。ダイワ精工は、来年から中国で『GⅢ』や『オノフ』を販売する計画を進めているが、今後もおいしい市場めざして、後に続くメーカーが出てきそうだ。
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