全英オープンで活躍したトム・ワトソン。全英優勝の最年長記録は、達成することができなかったが、オフィシャル・ワールド・ゴルフランキング(OWGR)では、1374位から105位と、1269人のごぼう抜きの“記録”を達成した。大会前の1374位という順位も凄いが、この全英オープンで、来年以降のワールドランクの算定基準の見直しが決まった。
優勝したスチュアート・シンクは、23位から9位に、予選落ちをしたタイガー・ウッズ、不参加のフィル・ミケルソンは、ともにランキングの1位、2位と変動せず。だが、この上位の安定順位も、そう長くは続かないかもしれない。全英の期間中にランキング計算方法の変更が発表されたからだ。
ワールドランキングは、過去2年間の試合での成績をもとに計算される。わかりやすく言えば、各試合で獲得したポイントを合計し、それを出場試合数で割った平均ポイント数の多い順にランキングが決められる。
各試合に割り当てられるポイント数の違いや獲得したポイントも時間とともに減点されて計算されるなど、細かい計算方法がある。そんななかで、「(これまでは2年間40試合と決められていた試合数を)これからは、最大出場試合数を来年1月より60試合とし、これを段階的に減らして、2012年からは52試合にする」(OWGR理事長マイケル・ボナラック卿)と発表されたのだ。
ワールドランク自体は米ツアーなどのインターナショナルフェデレーション・オブ・PGAツアーや4大メジャーの代表たちによって構成されるOWGRの理事会によって統括されるが、この理事会が全英オ-プンを期に開かれ、新しい決定が下されたのだ。
この決定、どういう事かというと、ランキングの数字は、獲得したポイントの合計を出場試合数で割って算出されるが、この計算上の出場試合数を、最終的に2012年以降は52試合にもっていこうということだ。
これまで、40試合前後でメジャーなど大きな試合ばかりに出場しているタイガーやミケルソンといった選手のほうが、2年間で60試合以上参戦しているビジェイ・シンのような選手より有利になるという声もあった。
メジャーなどの大きな試合は、それ自体のポイントが高く、下位や予選落ちでもポイントが付くので、ワールドランキングへの影響を考えて、大きな試合にしか出場しないプレーヤーも出てきかねない。
「この新しい計算方法が、プレーヤー達にもっと頻繁にプレーするように後押しするものになるものと信じている」(前出ボナラック卿)。
表向きは、試合数による不公平感を是正する意味合いが強いが、その実、要は不況の折、トッププレーヤー達の出場試合数を増やそうというのが、本当の目的なのかも。
このワールドランキングの順位は、日本の通常の試合であれは、20位以内に入らなければ、ポイントをゲットできない。そのため、例えば尾崎将司は、算出された最後のランキングが1117位だったが、過去2年間、まったくポイントがなく、順位がついていない。
来年以降、新方式で運営されるワールドランク、その順位に注目したい。
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