ハイブリッドカーに代表されるエコブーム。ゴルフ場が独自にエコ活動を展開する例も増えている。なかにはエコ専門の担当者を置いて、周辺自治体まで巻き込んだ活動を展開するゴルフ場も登場した。昨今のゴルフ場エコ事情とは?
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OGM系の、きみさらずGL。この池にはロストボールがいっぱい?
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エコ専門の担当者まで置いて積極的な活動を展開しているのは、美濃白川GC(岐阜県)。
そもそもは「電気代節約のため、電力消費量が大きい入口の自動ドアのうち、1枚を夏の間解放したことがエコに目覚めたきっかけ」(上村脩蔵支配人)。
以後、レストランから出る生ゴミのコンポスト化(堆肥化させること)を実施。その直後にボイラーの1基が壊れ、コージェネシステム(天然ガス利用の省エネ発電設備)に入れ替えてメンテナンスコストを大幅に削減した。
そして次に手がけたのが廃天ぷら油の有効活用である。18リットル缶を軽トラックに積み、週1~2回地元の飲食店や給食センターを回って回収、地元の白川町や隣接する東白川村のゴミ収集所に回収容器も置いている。
会員がポリタンクに入れて自宅からコースに持ち寄るケースもあり、集めた廃天ぷら油からバイオディーゼル精製装置でバイオ燃料を作り、芝刈り機などの燃料にしている。
「電気代やメンテナンスコストなどを削減できた分、コース管理には力を入れている」(上村支配人)ためか、今年5月は5600名(対前年比109.6パーセント)、6月は5300名(同120.4パーセント)という、いまどきとしては驚異的な来場者数を記録している。
グループを挙げて沖縄で珊瑚礁移植活動を展開しているオリックス・ゴルフ・マネジメント(略称OGM)では、沖縄2コースから始めたロストボール回収と募金活動を、6月から傘下全36コースと練習場2カ所にも拡大。集まった基金とロストボールを売却して得た収益金で今夏200本の珊瑚礁移植を計画している。
地球環境にやさしいゴルフ場を標榜することでゴルファーにアピールしたい意向のようだ。このほか、刈芝や落ち葉などのコンポスト化も半数近くのコースで導入済み。「スペースが確保できれば全コースへ導入したい」(OGM広報)という。
エコ対策では先駆的な存在である八王子CC(東京都)では、7~8年前から刈芝や落ち葉などのコンポスト化を開始、給湯器もハイブリッド型に変えた。
冷房温度を高めに、暖房温度を低めに設定する運動は、「ほぼ全ての会員に理解を得られるようになった」(大石順一支配人)という。
ただ、使用済みウェアを入れる袋を家から持参してもらう、マイランドリー袋の方は「まだまだ浸透していない」という。これは、持ち帰った着用済みウェアとそれを入れたランドリー袋を、ゴルファーの妻がどこまで面倒を見てくれるかに、普及のカギはありそう。
「コース単独ではなかなか、なぜウチのコースだけが、ということになるが、地域の支配人会で、エコ推進を合意できると、会員の理解も進むのでは」(大石支配人)。
「まずはできるところから」(OGM広報)が基本のエコ対策。面倒くさがらずに、自分にできることから始めよう。
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