先々週の女子ツアー戦、NEC軽井沢72でまたジュニアの注目株が誕生した。川岸良兼プロの次女・史果さん(中3、14歳)で、最終日に70の好スコアを出して16位タイ、見事ローアマに輝いた。彼女の大会出場の背景には、日本ゴルフ協会(JGA)の指導にもからんだ、ちょっとしたラッキーがあった。
|
運も強さのうち! NEC軽井沢72でローアマ獲得の川岸史果
|
NEC軽井沢72でローアマになった川岸史果さんは、これが初めての女子ツアー戦。この春まではそれほど注目される選手ではなかった。しかし、今年の日本女子アマで、マッチプレーまで駒を進めた(ベスト32)ことで存在を知られるようになり、今大会の招待につなげた。
出場の背景を、彼女を指導する井上透コーチは次のように語る。「川岸プロとも相談し、会場が彼女向きの広いコースだったこと。それと、ここにきて大きく成長し、60台を出せるまでになったので、プレーさせてみようということになりました」
また、今回の好成績については、「予選通過の可能性はあると見てましたが、それ以上は初めてのプロ競技で、未知数でした。でも今回の結果を見ると、実戦向きの選手なんでしょうね」と評価する。
彼女のようにジュニアがツアー競技に招待される場合、通常はトーナメントディレクターが直接個別に声をかける。
「以前はJGAから推薦してもらってましたが、ジュニアを呼ぶ試合が増えるようになっていちいちJGAを通さず直接交渉するようになりました」と某運営会社スタッフ。
そうなると、以前あったアマチュアの招待出場は年間4試合までという規定が今はなくなったので、有力ジュニアに次々と声がかかりそうだが、ここにひとつの“しばり”があった。
実はJGAではナショナルチームやチームジャパン・ジュニア(ジュニア指定強化選手)に対し、年3回、国立スポーツ科学センターで専門のトレーナーをつけ、コンディショニングの指導を行っている。
それを受けて、選手たちには競技の連戦出場は控えるようにと指導している。
「指導」とは事実上の強制で、選手は逆らうことはできない。
そのため、先のNEC軽井沢72は翌週に日本ジュニアが開催されることから、ナショナルチームクラスの有力選手は出場できない状況にあったのだ。
今回の川岸さんの活躍の背景には、有力ジュニアが出られないという“運”があって、「その状況から川岸さんを評価し、招待選手に選んだディレクターのヒットということでしょう」(前出の運営スタッフ)ということになる。
ナショナルチーム級のジュニアがツアーで活躍する姿を見たいところだが、半面、ジュニア層の厚い今は、今回のようなケースで、川岸さんのように思わぬ新星が飛び出す楽しみもあるということだろう。
|