8月30日に行われた衆議院議員選挙は高い投票率が予想されていた。そんななか、選挙と同日に最終日を迎える男女トーナメントに参戦していたプロたちの投票行動はどうだったのだろう。投票したプロ、しなかったプロの本音を聞いた。
父が参議院議員で、07年の選挙の際には応援活動の経験もある横峯さくらは、さすがに「滞在先での不在者投票」の制度を利用して、早々と投票を済ませていた。
「手続きは大変だったけど、東京で投票できる方法があったので、不在者投票しました」と横峯。他にも今回ヨネックスレディスで聞き取り調査をした14人の女子では「実家に帰ったので父と一緒に行きました」(藤田幸希)、「たまたま沖縄に帰ったので投票した」(諸見里しのぶ)と「期日前投票」の制度を利用した者が2人。合計3人の投票が確認できた。
14人の中には、斉藤裕子や下村真由美のように「日曜日に時間が間に合えば行く」と答えたプロも2人いたが、「時間がなくて行けない」が6人。「行かない」と明言した者が3人だった。「間に合えば」も含めると、女子プロの投票率は、36パーセントといったところだ。
一方、男子ではKBCオーガスタで聞き取り調査をした18人の中で、「期日前投票」または「不在者投票」を利用した者は皆無。
「帰ってから行こうと思っています」(近藤共弘)、「試合が終わってからでも間に合いますから、必ず行きます」(上田諭尉)、「好きなんで行きます。プロゴルファーも社会に参加しなくちゃ」(山下和宏)、「予選落ちしたら行くかもしれません」(武藤俊憲)と「行く」と答えた者は、4人のみ。推定投票率は22パーセントと低い。
「期日前投票」については知っていても、「全国どこでも投票できるようにしてくれればいいのに」(某プロ)と「滞在先での不在者投票」の制度があることまでは知らないというプロもいた。
もっとも、この制度は、「宣誓書兼請求書」という書類を提出して、郵送で投票用紙を受け取らなければならず、「手続きは大変」と横峯さくらが言うように面倒なもの。制度そのものや、手続きについても、もっと周知させる必要があるだろう。
「(選挙について)話題になったことはないですね」(尾崎将司のマネジャー)。「選挙ですか? 話したことがありませんね」(片山晋呉のマネジャー)と「行かない」と答えた者が6人。「行きたいが行けない」と答えた者が8人。
男女ともに「行かない」あるいは「行けない」と答えた者でも、「政治が変わって欲しい」(深堀圭一郎)というようにある程度の関心は持っている。
「国民の義務ですから、行かなくちゃいけませんよね」と言うのは、藤田寛之。だが、実際には北海道から全米プロへ飛び、1日だけ静岡の自宅に戻り、関西、九州と転戦していては、選挙どころではなかった。
選手会長の宮本勝昌も、試合とイベントが立て込み、投票に行くゆとりがなかったと言う。「こういう立場になってから、政治や社会に物凄く関心を持つようになったんですけど、今回は時間がありませんでした」と宮本。
選挙に「行きたい」と思っている人が全員投票できる制度が欲しいというのが、多くのプロたちの意見だった。
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