民主党政権が誕生する特別国会は来週、16日に召集、同日中に首班指名選挙が行われ鳩山由紀夫代表が第93代首相に指名される予定だ。その後、すぐに組閣となるのだが、新内閣が急ぎ取り組まなければならない課題は多い。そのなかには民主党がマニフェストで約束した、ゴルファーにとって影響の大きな「高速道路の無料化」と「ガソリン等の暫定税率の廃止」がある。これらの政策は、果たして本当に実現するのだろうか。
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ゴルファーにとって、ガソリンが安くなり高速が無料になれば、こんないいことはないのだが……
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民主党のマニフェストに目を通した人も多いと思うが、そこには具体的に全55項目の「マニフェスト政策各論」が示されている。
そのなかには「中学卒業まで、1人当たり年31万2000円の子供手当を支給」という注目の政策もあるが、多くのゴルファーが関心を持っているのが「ガソリン税、軽油取引税、自動車重量税、自動車取得税の暫定税率の廃止」と「高速道路の原則無料化」だろう。
暫定税率については、昨年春、同延長法案の審議が参議院で遅れたことから4月の1か月間廃止され、蔵出し価格が1リットル当たり約25円引き下げられることになった。民主党はその暫定税率を来年の平成22年度から廃止し、2.5兆円の減税を実施するとしている。
国会内の同党政策調査会に聞いたところ、「いつとは明言できませんが、来年度中に実施するつもりで現在取り組んでおります」との返事だった。
一方、「高速道路の原則無料化」についてだが――もともと無料化されれば大渋滞が確実な首都高と阪神高速は除外されているのだが――最も気になる「いつ頃から、どの路線・区間で?」という問いに対し、この政策担当の馬淵澄夫議員(民主党政調副会長)は次のように説明している。
「まずは無料化にしても渋滞が発生しない地方の道路から段階的に実施していくことになります。具体的にはこの秋の臨時国会、または来年の通常国会において法整備や各関係省庁と協議を進めたうえで、ということになりますが、個人的には来年度からスタートさせたいと思っています」とのことだ。
同議員の説明によれば、交通量が少ない地方の道路はすぐにでも実施できるが、それ以外は無料化の社会実験を行いながら、大渋滞が発生するような路線・区間については当面、有料としたいという。
また、現在の週末1000円の通行料でも多くの路線・区間で渋滞が発生しているのに、さらに大渋滞になるのでは? という見方に対しては、「常時無料化になれば利用者が集中するということがなくなるので、そうはならないと思いますが、それも社会実験を行いながら無料化、あるいは料金の引き下げといったことを決めていきたい」と語る。
しかし、同党のマニフェストには財源を疑問視する声が絶えない。実際に、大丈夫なのだろうか?
「国の予算総額は207兆円程度ですが、民主党はそれを全部一度、白紙にし、無駄と判断される予算を省くことで16~17兆円は浮かすことができると見ています。それをマニフェストに沿って振り分ければいいわけですから、出来るか出来ないかではなく、やるかやらないかの段階にあるといっていいでしょう」と語るのは、本誌連載『がんばらないからうまくなった。』の執筆者でジャーナリストの上杉隆氏だ。
どうやら、来年度中に実施される可能性は高いようだ。そうなると、来春以降はゴルファーの行動範囲にも大きな変化があるかもしれない。
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