昼食付きのプランは珍しくなくなったが、最近では朝食無料も打ち出すコースが増えている。プレーフィの低価格化が進み、安価な朝食メニューも続々登場するなかでの朝食無料化、その背景にあるものとは。
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富士OGMエクセレントクラブ伊勢大鷲Cの人気朝食無料バイキング
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朝食無料といえば旧富士CC系のコースを思い浮かべるゴルファーは少なくないだろう。
朝食、昼食、午前、午後1ドリンク(計2ドリンク)がプレーフィに含まれる“パスポート”なる料金プランが旧富士CCの各コースにはあった。
フジパン系列だっただけに、各コースのレストランの厨房にはパンが焼けるオーブンがあり、焼きたてパンが朝食に登場していた他、パンをお土産としてタダで配っていた時期もある。
フジパンの工場が近いコースでは、工場から直送されるケースもあったようだが、フジパン傘下を離れた今では、
「当時からあるオーブンで、お土産用にアップルパイを焼いて販売している。朝食には今も焼きたてパンを提供している」(大多喜城GC)というコースもある。
東急不動産に譲渡された大多喜城GCと芝山GCでは、現在も“パスポート”という料金プランは残しているが、芝山GCの場合は朝食をはずして、昼食、午前、午後各1ドリンク付きのプランに変わっている。
旧富士CCのコースを多数取得したオリックスゴルフマネジメントは、
「東海地区の6コースと兵庫県の富士OGMGC小野コースで、朝食バイキングの無料サービスを続けているが、関東地区の旧富士CC系コースでは実施していない」。
ただ、この朝食無料というもの、本当に純然たる無料かというと、どうもそうではないという背景も見えてきた。
2年前から朝食無料化を実施しているオークビレッヂCCでは、
「ちょうど来場者数が増えていたので、朝のレストラン利用率を上げるため、プレーフィに含んで表示する形で始めた。それまで20パーセント台だった朝のレストラン利用率が90パーセントくらいまでに上がり、にぎやかに見えて楽しい、と言ってくれる来場者もいる。何よりも朝食をコースでとるため、遅刻がなくなり、スタートがスムーズになった」(同CCの経営会社の森インベストメント・トラスト)。
オークビレッヂでは全日、朝食を無料にしているが、同グループ系列でもかさまフォレストGCの場合は、不定期に平日の数日を選んで提供している。
その理由は、
「オークビレッヂはそこそこプレーフィがとれていたので、朝食込みのプランを提供できたが、他のコースはプレーフィの水準がもともと低かったので、あくまで来場者数が少ない平日の集客対策として使っている」(森インベストメント・トラスト)からだ。
石川県の金沢CCでは、
「土、日、祝日は一番早いスタートが午前6時30分。この時間帯の予約を伸ばすため、午前7時スタートまでの人限定で今年7月から朝食無料化を始めた」。
このため、メニューも大人数相手のバイキングではなく、あくまで単品。和定食やうどんなどから選ぶ形だ。
ゴルフ場は今やレストラン部門を専門業者に委託しているケースが、国内全コースの3分の1程度を占めるというが、約70コースから受託している西洋フード・コンパスグループ、サントリー系のダイナックともに、朝食無料のコースはゼロ。
「受託はレストランだけで採算を維持しなければならないので無料化は不可能。無料化はレストランを直営しているコースに限られるのでは」(ダイナック)という声も。
レストラン直営のコースでも、既にプレーフィを限界まで下げていると、材料費も人件費もかかるなかでの朝食無料化は不可能に近い。プレーフィに転嫁してこそ可能と言えそう。
それがわかってしまうとお得感もやや削がれなくはないが、ゴルフ場にとって、遅刻者が減ったと意外なメリットもある朝食無料。
ゴルファーは余裕をもってコースに到着し、仲間とゆっくり朝食を楽しむ目的で利用してみてはどうだろう。
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