来週10月8日から始まる、アメリカvs欧州を除く国際チームの対抗戦・プレジデンツカップ。石川遼の出場が決まり、俄然注目を浴びることになったが、2年に一度のこの大会、日本では意外に注目度が少なかった。アメリカではメジャーに匹敵するほど評価されているビッグイベント、一体どんな大会なのか、日本で知られていない中身を紹介しよう。
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フジサンケイ優勝がプレジデンツカップ出場につながった
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2000年に丸山茂樹がこの大会に出場して以来、日本人プレーヤーが参戦していないことから、日本では馴染みが薄いのかもしれない。しかし、ライダーカップ(アメリカvs欧州チームの対抗戦)と毎年交互に開催されるこの大会の二つは、アメリカではメジャーに匹敵する注目度がある。
今年のプレジデンツカップで、選手に選ばれなかったローリー・サバティーニは、「誰からも話がなかったし、電話もなかった。ちょっと失望している」と語る。
サバティーニは、「ここ1~2週の成績がもう少し良かったならば、自分を選ばなかったことに苦情を申し立てていた」と語っていたが、それほどまでにこの大会に出場することに、多くのプレーヤーがこだわっているのだ。
この大会、10年ほど前から“出場ギャランティ”に相当するものは選手に支払われるようになったが賞金はなく、プレーヤーは自分と自国の名誉だけを懸けて戦う。しかも、試合はチーム戦、個人戦とあるが、すべてマッチプレー方式。それだけに皆が熱くなるのだ。
実は3年前までは、プレジデンツカップに出場するだけで、翌年の米ツアーのシード権が与えられていた。今でも、全英オープンの他、メモリアル、WGCブリヂストン招待など米ツアーのいくつかの試合がプレジデンツカップ出場選手を招待している。
もっとも、出場選手に選ばれたほどのプレーヤーであれば、自力でシード権を獲得したり、メジャーなどに出場できることから、招待枠を設ける試合が少なくなってしまったが、それでも、海外ではこの試合が重視されており、多くの選手が出場選手に選ばれることに情熱を燃やしているのだ。
出場選手は両チーム12人ずつ。アメリカチームは過去2年間の獲得賞金をもとに、国際チームはワールドランキングから10人ずつが全米プロの直後に自動的に選ばれ、残りの各2人がアメリカチームのキャプテン、フレッド・カプルスと国際チームのキャプテン、グレッグ・ノーマンの選択によって選ばれている。
そのノーマンが石川遼を選んだのは、なんといってもキャプテンチョイスの直前、フジサンケイクラッシックで優勝したことが大きい。
8月の時点では、言葉の問題などがあり、Y・E・ヤンと組ませるためにチェ・キョンジュやジーブ・ミルカ・シンの名前を挙げていたノーマンだが、石川遼がワールドランギングの50位以内に入ってきたことで、急きょ浮上したようなのだ。
ノーマンはこう語っている。
「彼は全英で50人ものメディアに囲まれても、プレッシャーを跳ね返すようなプレーをしていた。それに国際チームのミーティングでは皆に一人ずつ挨拶をしていた。その情熱を買ったし、プレジデンツカップの独特な雰囲気のなかでも十分、力を発揮できると評価して、彼を選んだのだ」
もともと候補のなかにはいたようなのだが、初出場なのとワールドランキングが全米プロ終了時点で、国際チーム枠での20位だったことから、候補者リストの一番下にいた。
それがプレーヤーを決定する直前に石川遼が優勝したのだから、タイミングは抜群だったと言えるだろう。
98年のプレジデンツカップでは、丸山茂樹が5戦して5つのマッチですべてに勝ち、一躍世界の注目を集めたように、この試合に出場することによって、勝ち星次第では石川遼の株はさらに上がる。プレーヤーのなかに連帯感が生まれ、仲間ができることは想像に難くないし、何より、世界で石川遼の姿がテレビで放映されるのだからメリットは計り知れない。
今年のプレジデンツカップにはメジャーの優勝経験者が両チーム合わせてなんと14人が集結する。そのなかで石川遼がどんな活躍を見せるか楽しみである。
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