京都府で初めて開催された男子ツアー、パナソニックオープン(9月24日~27日)の会場・城陽CCでは、ひと目、石川遼を見ようというファンでごった返した。観戦に不慣れなギャラリーも多かったせいもあり、あちこちで携帯のシャッター音が鳴るなどマナー違反が取り沙汰されたが、もう一つ、格段にタフなホールが含まれ、選手を苦しめたことも話題だった。
今大会で最も選手たちを苦しめたのは、パー5をパー4として使用した484ヤードの12番ホール。初日、ここを通過した132人の誰一人としてバーディを奪うことができなかったのだ。
決勝ラウンドの2倍近くの選手がプレーする予選ラウンドのパー4でバーディが出ないことは、昨年のブリヂストンオープン初日の14番ホール・パー4(464ヤード)など前例がないわけではない。しかし、このときは平均風速8メートルもの向かい風が吹いていたのに対して、今回の風速は2メートルと“微風”といってもいいほどだった。
2日目と3日目はそれぞれ2つずつ、最終日は3つと計7つのバーディは出たものの、4日間の12番ホールの平均ストロークは4.790と、4・779だったパー5の14番(565ヤード)より悪いスコアになった。
今年で2回目となる同オープンは、アジア太平洋ゴルフ連盟、パナソニック、日本ゴルフ協会(JGA)が主催しているが、実質的にコースセッティングなどを担当するのはJGAだ。
昨年の同オープンは茨木CC西コースで開催され、通常営業のパー5の4ホールのうち2ホールをパー4として、パー72を70にしたにもかかわらず、優勝スコアは16アンダー。これに対してJGAの競技委員長・野村惇氏は、
「今回はコース選定が遅かったため準備不足だった。次回の城陽はしっかりセッティングをします」
と語り、コースは相当タフになると予想されていた。それにしても、パー5より平均ストロークが悪くなってしまうパー4がなぜできてしまったのだろうか。
「最初からパーを71でやることを決めていました。ではどのパー5をパー4にするかということで、4つあるパー5のうちで一番短い12番を、ということになったのです」(野村氏)
ツアーでパー5をパー4として使用するのは珍しいことではないが、かねてから一部のプロの間では
「短いパー5を長いパー4にするのは、設計意図からしてもおかしいのではないか」
という批判があった。その点を野村氏に尋ねてみると、
「私もそう思います。ですがゴルフ場さんがあまりいいスコアを出されたくないというのがありまして、特に今年の関西オープン(宝塚GC)で20アンダーが出て大変心配しておられましたから」とのこと。
城陽CCは西コースと東コースの36ホールで、今回はそこから18ホールをチョイスしており、12番は通常営業では東の3番。ティグラウンドからグリーンまで29メートルの高低差がある打ち上げで、その上、変則3段の複雑なグリーン面は2打地点はもとより、刻んだ3打目からでも見えない。
同CC所属の山本善隆によれば、「パー5ならバーディの確率は高いが、グリーンが複雑でバンカーも効いているのでパー4にすると気持ち的に難しくなるホールですね」とのこと。
「選手はパー4ということで力んで難しくなってしまったのだと思います。他のパー5では2オンも多かったし、イーグルも出ていますから。フェアウェイに置いてグリーンを狙うのが基本で、ラフに入ったら刻むという考え方をしてほしかった。今のプロたちは1ヤード刻みで打てる技術があるのですからね」
と野村氏。パーの数字に惑わされない精神的な強さが試された形になったようだ。
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4日間でバーディ7個の超難関ホールだった12番・パー4
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