先週の日曜(10月4日)、トーナメントのテレビ観戦を決め込んだファンのなかには、午後の4時間あまりテレビの前から離れられなくなったという人も多かっただろう。ソン・ボベと横峯さくらのプレーオフとなった日本女子オープンの生中継に続き、劇的勝利の石川遼自身、「こんなシナリオは誰も書けないですね」と振り返った東海クラシック。劇的といってもいい、面白すぎる試合展開に視聴率も跳ね上がった。
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石川遼の劇的優勝で、中部地区では過去最高視聴率をマーク
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まずは、記録的な高視聴率をあげたコカ・コーラ東海クラシック。関東地区の平均14.6%という数字は、2000年以降のゴルフ中継では昨年の日本シリーズと並ぶ過去最高タイ。また、瞬間最高は20.8%(石川が優勝を決めた18番プレー中の午後5時42分と43分)で、国民の5人に1人が観戦した計算になる。
しかし、それより驚くのが開催地・中部地区の視聴率だ。実は中部地区では、このところ男女ツアーとも安定して高い視聴率を記録している。女子では8月のCATレディス以降、7試合連続で10%超えを記録中だ。
その中部地区だが、今回は平均20.9%という驚異的な数字を出していた。製作の東海テレビ(フジテレビ系)によれば、中部地区のゴルフ中継では過去最高とか。スポーツ中継で20%超えは、いまやサッカーの日本代表戦くらいでしかお目にかかれない数字だ。
「素直に嬉しいですね。でも、番組制作中は今回の白熱した試合展開の面白さをきちんと伝えることだけを考えてましたし、終わったときは、それができた手ごたえだけで、数字のことは頭にありませんでした」(担当ディレクター・石部生憲氏)
試合展開は中継開始から石川のウィニングパットまで、優勝の行方を左右するプレーの連続で、その現場の生の興奮をいかに的確に伝えるか。そのことに腐心した1時間30分だったというのだ。
だから、「今回の視聴率は大勢のギャラリーを含め、大会関係者すべてのおかげです」と控えめに振り返る。
だがこの背景にはもうひとつ大きな要因があった。それは、NHK総合が13時5分~16時20分で生中継した日本女子オープンだ。
こちらも平均10.2%と今年女子ツアーでは4番目の高視聴率を獲得したのだ。試合は人気の横峯さくらが最後の18番ホールでバーディをねじ込み、最終的にソン・ボベとのプレーオフにまでもつれ込む面白い展開だった。そして、プレーオフでソンが勝敗を決する優勝パットを沈めた16時14分に15.6%という瞬間最高視聴率を記録した。その視聴者の多くが、そのまま16時20分放送開始の東海クラシックの視聴へ流れ込んだのは、間違いのないところだろう。
ちなみに視聴率に影響するのでは? としばしば問題になるネットのニュース速報(テレビ中継より早く、試合の結果がネットにアップされる)だが、そのことについて前出の石部氏は、
「今回の結果からすれば、見ごたえのある試合展開ならば、結果のネット配信はあまり影響がないのかも知れませんね」
と、大きな問題とは捉えてないようだった。
それよりも問題は、やはり石川遼が上位でプレーしない大会だろう。今季男子の視聴率ベスト5(表参照)は、いずれも石川が優勝争いにからんだ試合。反対に、彼が下位に沈むとどうしても数字は振るわない。
先々週のパナソニックオープンは、最終日の会場(城陽CC)は1万4000人を超える大ギャラリーだったのだが、視聴率は対照的に4.8%と不振だった。
その点、人気選手が数多く誕生し、毎試合そのうちの何人かが上位で活躍する女子ツアーは安定した視聴率を記録している。男子ツアーは、やはり石川に次ぐ人気選手の登場が待たれる現状なのだろう。
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