かつてゴルフ場は、自然破壊、環境破壊の象徴のように言われていた。だが、専門家の研究により、ゴルフ場は手入れの行き届かない森林よりも光合成が盛んで、多くの二酸化炭素を吸収していることがわかるなど、ゴルフ場に対する認識は少しずつ変わってきた。最近では、エコロジーに積極的に取り組み、従来のイメージを変えようとするゴルフ場の動きも増えてきた。
政府が二酸化炭素の排出量を2020年までに、1990年比で25%削減することを国際公約としたことで、今後、社会の関心は低炭素、そしてエコロジー全般に集まりそうだ。
ゴルフ場においても、以前の省エネの観点ではなく、「エコ」の観点から二酸化炭素削減の工夫が図られ出した。そうした動きをゴルフ場経営コンサルタントの菊地英樹氏は、「今はどのゴルフ場からも、低炭素やエコで、やれることは何でもやろうという機運が見られます」と語る。
顕著なのが乗用カート。今やエンジンカートから電動カートへの買い替えが盛んなのだ。背景には、時代を先取りしたメーカー側が低価格で高性能の電動カートを開発し始めたことがある。最近も日立から、消費電力を18%も低減した新モデルが販売された。
「1ラウンドの燃費で比較すると、ガソリン車(エンジンカート)が120~150円のところを、従来の電動カートは30~35円、それが24円程度にまで削減できることになります」(カートシステム統括部)
ゴルフ場でも、ソーラーパネルの設置による太陽光発電の動きがある。この分野では既に浜名湖CC(静岡県)が1000キロワット(kwh)時の風力発電とともに、17kwhのソーラーパネルを設置。余った電力を中部電力に売電して利益を得ている。同CCでは年内にさらに大規模な100kwhのソーラーパネルの設置する予定だ。
さらに佐久平CC(長野県)も太陽光発電を計画し、公的助成制度の適用を申請中だ。「申請が通れば(今月末に判明)、設置工事を始めます。エコロジーへの協力は、うちだけではなく、地元・佐久市のイメージアップにもなり、地元貢献ということで取り組んでいます」(佐久平CC)
しかし、こうした姿勢をゴルフ場がアピールするようになったのは最近のこと。
『ゴルフ場は自然がいっぱい』(ちくま新書)という著作を先日発表した田中淳夫氏(森林ジャーナリスト)は、
「社会には、“ゴルフ場は自然破壊”という誤ったイメージがありますが、責任の一端はゴルフ場側の説明不足にあると思います。例えば、ゴルフ場は低農薬化に成功しているのですが、一般にほとんど知らされていない。関係者に取材すると、営業(集客)につながらないからという。長い目で見れば、ゴルフ場のメリットになると思いますね。それと、ゴルフをしない人も積極的に招き入れて見てもらうようにすべきでしょうね」
と業界にアドバイスを送る。
エコロジーの機運に乗って、ゴルフ場にはすべきこと、アピールすべきことがまだまだありそうだ。
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