都心の練習場、ゴルフ場は盛況だが、その波は会員権市場にまで及んでいないのか、相変わらず市場の動きは鈍いままだ。そんななか、高坂CC(埼玉県)では、今、女性正会員をなんと1020万円で募集している。しかも、この額は同ゴルフ場の男性会員権相場よりかなり高い。このわけを調べてみると……。
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男性より約300万円高い女性会員権を販売する高坂CC
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「男性メンバーの方から妻もメンバーにしたいが、売りが出ないので買えない。何とかならないかとの声が寄せられたこともあり、4年前から行っています。1020万円というのは4年前の女性会員権の相場がこのくらいの金額でしたので、それで設定しました。これまでに約30人が入会しています」(同CC営業担当者)
もともとゴルフは男性のスポーツと考えられていた。そのため、古くからのゴルフ場は女性用施設が不十分であり、女性会員を受け入れたくても受け入れられないという事情がある。そこで、女性会員は総会員数の一割までと定めているところも少なくない。このため古いゴルフ場ほど、女性は女性からしか名義変更できないという仕組みができている。また、小金井CC(東京都)のように女性会員は入会不可、狭山GC(埼玉県)、武蔵CC(埼玉県)のように一般からは新規入会できないコースも存在する。
それにしても、高坂CCの場合、男性の会員権が総額で700万円前後で売買されているのに対して、女性の会員権はそれよりも約300万円も高い。
ゴルフ会員権を扱う加賀屋ゴルフの前田信吾氏によると、
「例えば、あるコースが1000枚の会員権を発行していて男性会員権が900枚、女性会員権が100枚ということだと女性会員権のほうの数が少ないわけですから、それだけプレミアがつくということです。欲しい人がいて数が少なければ値段が高くなる。当然のことですね」
女性名義の会員権の売り物が出て初めてそれを買うことができるという仕組みが、希少性となりプレミアがつくわけだ。
横浜CC(神奈川県)では600万円、東京よみうりCC(東京都)に至っては1000万円も女性会員権のほうが高い。ちなみに、東京よみうりCCの2800万円は、女性会員権の相場としては日本一の高額。
こうした女性会員権を巡っては、こんな意見もある。会員権の裏事情に詳しいAさんは、
「女性会員権が市場に流通すると、自然とプレミアがついて男性会員権よりも高い相場になります。ゴルフ場が商売を考えるなら、女性会員枠を増やして募集すれば、それだけ旨みがあるわけです」
一方で、ここ10年、外資系のコースが増えるにつれて、日本のコースのあり方が変わってきたという声もある。ロッカーや浴室など女性用の施設を充実させることで、会員権の男女の枠を取り払い、一般会員として募集しようというコースが多くなってきたのだ。
「女性の入会は認めないという昔ながらのしきたりを頑なに守る名門コースも残っていますが、施設の拡充によって女性会員の数が増えてくれば、これまでゴルフ界にあった会員権の男女格差も次第に減ってくるのではないでしょうか」(ゴルフダイジェスト社会員権サービス部・田嶋一弘課長)
ゴルフ場で女性の姿を多く見かけるようになった昨今、今後は会員権市場でも女性の進出がますます顕著になるだろうが、果たして男女格差は解消されるか。
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