石川遼が優勝すれば18歳の賞金王が誕生したはずのカシオワールドオープン。最終日の緊張感が漂うなか、石川遼、丸山茂樹、小田孔明の優勝争いを演じていた最終組が2番を回っているときに、乗用カートによる信じられない人身事故が起きた。中継局だったTBSのカメラクルーが乗ったカートが暴走し、ギャラリーを巻き込む大惨事が勃発したのだ。あまり注目されないカートの安全性とはいったいどうなっているか調べてみた。
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前代未聞、ギャラリーを巻き込んで起きたカート事故。安全運転していたのか!
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近ごろは乗用カートを導入しているコースが増え、それに伴って事故も起きている。では、乗用カート自体の安全性について、日ごろからカートの点検など行っているのだろうか。支配人に聞いてみると、「乗用カートのメンテナンスは年1回行っています。乗用カートのメーカーが契約しているメンテナンス専門の業者にブレーキ、バッテリー、タイヤの減り具合などを見てもらうようになっています。通常は、樹木や壁などぶつかったりした場合にも点検はしています」と回答したが、これは一般的のことのようだ。
乗用カートメーカーの関係者によれば、手動モードならカートの一般的な最高時速は20キロ前後。しかしコースのなかには下り坂もあり、改造をすればさらにスピードが出るようにもできるが、危険度が増す自動の場合は、最高でも時速10~12キロに設定されている。
では制動距離はどうなっているのか。ブレーキの踏み方によっても違いが出てくるが、一般的には、平坦な場所であれば急ブレーキをかけたときで約2メートル。最高時速20キロと想定したときでも約4メートルで止まるようには設定されているという。しかし、ブレーキを踏んでから2~4メートルも動くのだから、ぶつかってもおかしくない。さらに乗員なども含めたカート重量、約800キログラムもの物体が追突することを考えると恐ろしい。
カートだからといって安易に考えている人が多いと思うが、大惨事は免れない。プレー中、キャディさんから「カートの前は歩かないでください」と言われたことがある人もいるはず。プレーヤーは運転していても、そばを通るときでも十分に注意する必要がある。
今回の事故で5人が負傷し、そのうちひとりの女性ギャラリーの上にカートが乗り上げてしまった週刊ゴルフダイジェスト誌先週号の巻頭グラビアの光景は、衝撃的なものだった。カートはあくまでも通常のプレーをするために用意されている。そのため、大勢のギャラリーが歩いているなかを暴走することは想定されておらず、その状況ではドライバーの技術と注意力、良心に頼るしかないのは言うまでもない。
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