リーマンショック以来の世界不況にあえぐプロゴルフ界にあって、米ツアーは成長著しいゴルフ新興国やアジアに目を向け始めている。
すでにWGC-HSBC選手権が昨年から中国の上海で開催されているが、こうした試合を足がかりに、USPGAは「米ツアー」ブランドをアジアに売り込んできた。
昨年11月に約2週間にわたってアジア行脚をした米ツアーのフィンチェムコミッショナーは、その成果の一つとして、アジアンツアーとコラボして、優勝賞金100万ドルというアジアパシフィックゴルフクラッシックをマレーシアで今季末に開催することを発表した。
米ツアーの賞金ランクに加算されない後援競技とはいえ、米ツアーが積極的に関与するアジア初の試合となる。11月20日には、来日して日本のツアーとの共同開催も提案。日本側も、
「米ツアーとの共同開催となると秋口のスケジュール調整の問題もあり、賞金額も今の2倍、3倍にしなければならず、課題は多い。しかし、JGTOとしては海外ツアーとの協力する方針を固めており、来年の可能性を探っている」(山中事務局長)
という。まだ詳細は具体的には決まっていないようだが、日本で開催されるとなれば、米ツアーのトップ選手たちのプレーが間近で見られる機会も出てきそうだ。
さらに今季は、シニアのチャンピオンズツアーが、韓国のソウルの南、ソンド市で9月に開催される。欧州ツアーはいち早く欧州を抜け出し世界に試合を拡大。いまや世界ツアーの様相を呈し、成功しているなかで、それにあやかって、米ツアーも国際化をどんどん推し進めようとしている。
実際、アジアンツアーは、今季のスケジュールを発表したが、試合数は28、賞金総額も3,900万ドルとなり、さらに2012年には30~35試合、賞金総額4,500万ドル(約41億円)になるというのだから、米・欧州ツアーがすり寄ってくるのも頷ける。「アジアンツアーが、国際的にメジャーなツアーであることを再確認した」とK・ハン会長が豪語するように成長が著しい。
また、米ツアーの下部ツアー、ネーションワイドツアーでも、南米初のコロンビアで初めて後援競技が開催されることになったが、米ツアーにすれば、不況が長引き、試合数が減った時に、後援競技を格上げして、帳尻を合わせる予定なのかもしれない。ツアーの国際化は時代の流れのようだ。
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