昨年のザ・プレジデンツカップで3勝を挙げる大活躍もあり、今回のザ・ロイヤルトロフィーでは、ポイントゲッターとして期待されていた石川遼。だが、1勝2敗と負け越した。なぜ取りこぼしてしまったのだろうか。
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思うような活躍ができずに悔しさが残った石川。これをバネにするか
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石川が現在取り組んでいる最大のテーマは、体重移動。しかし石川が認めるように「どうしてもプレッシャーがかかったときに、バックスウィングで無理矢理、右に移そうする」自然な動きがそこなわれてしまうと言う。
本来であれば、肩の力を抜いて、常に手は体の正面にあって、まったく使わない下半身中心の動きにしたいところなのだが、目標を過剰に意識したり、飛距離を稼ごうとしたりという意識が強くなると、ついつい腕や状態に力みが入ってしまうため、左に振り抜く理想的な動きができなくなってしまうのだ。
最終日の8番パー3、11番パー5での池ポチャが、まさにその典型だった。8番では相手のハンソンが1ピンほど近さに1オンさせると、石川は「その内側に乗せなくちゃ」と重圧を感じた。その結果、思うようなスウィングができずに池に吸い込まれ、
「マッチプレーを意識しすぎてしまった。相手は考えていなのかも知れませんが、術中にはまったしまった感じです」
相手と競った展開で先手を取られた場合、石川の攻めが裏目に出てしまう悪循環に陥った。
その一方で収穫もあった。初日に行われた交互にボールを打つフォアサムは、日本の選手はあまり馴染みがなく、最大の難関と見られていた。しかし昨年の同大会、ザ・プレジデンツカップとこの形式で戦ってきた石川の“経験豊富”さが生きた。
昨年はミスをしたときにペアを組んだ谷口徹に申し訳ない気持ちが先行して、自分のプレーを見失った。そのため大会前日にペアを組んだ小田孔明に「ミスをしても謝らないことです」とチーム戦のコツを伝授。
すると1番で小田のミスから欧州チームに先手を取られたが、平然とやり過ごし、石川・小田ペアは貴重な1勝を挙げることができた。
「あそこへ打ちたい」などという気持ちになったときでも、動じない技術とメンタルが今後の課題だ。しかし、今までも課題をクリアして強くなっただけに、トップへの道を探り出すに違いない。
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