PGAツアー初戦「SBS選手権」の参加資格は前年度PGAツアーの優勝者に限られる。今をときめくトップアスリートが集結して行われた大会で、ギアに関するちょっとした異変が見られた。60度の高ロフトウェッジをバッグに入れるプロが続出したのだ。
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60、64度なら球も上がって止まる! フェース裏の2つのビスでフェース交換する
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60度のウェッジといえば、少し前までは一部のプロしか使用していなかったが、今年の「SBS選手権」に出場した28選手中、実に26人ものプロがこれをバッグに入れていた。
トッププロがこぞって60度ウェッジを使い始めたのは、今年からツアーで適用が始まった「新しい溝規制」の影響があると考えられる。日米両ツアーで使用率の高い「ボーケイ」を供給するアクシネットのツアープロ担当は、
「低く出してスピンを効かせる球から、ふわっと上げる球を打つ機会が多くなっているのは確か」
と証言する。つまり、スピンに頼るよりも高さで止めるアプローチが見直されているというわけだ。
「60度以上のウェッジが『ロブウェッジ』と称されているように、球の勢いを殺すには、ロフトの大きなクラブが有利なのは間違いありません。スピンをかけるにしても、フルショットに近いほどかかりやすいので、思い切り振っても飛びすぎない60度を入れる意味はあります」と話すのはクラブ設計家の高橋治氏だ。
今ではどのメーカーも、どのモデルにも60度が設定されているが、今後さらにロフトの大きなウェッジが普及する可能性がある。『588ツアーアクション』(クリーブランドゴルフ)に続いて、64度がラインナップされているのはテーラーメイドの新製品『TPxFTウェッジ』だ。
そもそも60度ウェッジはプロのニーズから生まれたものだが、今回の64度もプロのリクエストに応える形で作られた。アマチュアに使いやすいのは56度から58度程度までといわれているが、64度はアマチュアにとってどんなメリットがあるのだろうか。
「フェースを開かなくても高さが出せるため、バンカーから真っすぐピンを狙いやすいというメリットがあります。その反面、ヘッドが球の下をくぐりやすく、いわゆるだるま落としになりやすいのでアベレージには難しい面もあります」と高橋氏。
ちなみに『TPxFTウェッジ』はフェースプレートが交換可能というアイデアのクラブだ。角溝とV溝のプレートが用意されているので、フェースミゾプレートを交換して溝の違いをチェックするという使い方もできる。日本市場では発売は未定だが、気になるクラブである。
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