米ツアー挑戦2年目となる石川遼が先日出場したノーザントラストオープンの公式会見で「ナッシングベンチャー ナッシングゲイン」という言葉を使って、現在の状況を例えた。これを受け、日本では“虎穴に入らずんば、虎児を得ず”と報道されたが……。今年はやりそうなちょっと気になるこの言葉、調べてみると。
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米国での試合に合わせて英語で心境を表した石川
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英語辞典など知られるランダムハウス辞典で「NOTHING VENTURED、NOTHING GAINED」を引くと、カンタベリー物語などの著者で英国詩人ジェフリー・チョーサーが1374年に書いた言葉と記されてある。
直訳すると「冒険しなければ、何も得ることはできない」だが、なぜ「虎穴に入らずんば」と和訳されるのか。日本語研究の第一人者、金田一秀穂氏に聞いてみた。
「表現は違いますが、思っていることは欧米もアジアも同じ。虎穴に入らずんば、虎児を得ずというのは、中国の故事にちなむものです。後漢の時代、敵に囲まれた王が“待っていたら殺される。それならこちらから撃って出よう”と部下を鼓舞して危機を脱したことから、冒険を犯さなくては何も得られないという意味で広く使われるようになりました。石川君は目標を明言することで、自分を励ます狙いがあったのでは」と説明してくれた。
松坂大輔が1999年に「リベンジ」という言葉を使って、流行したように、「ナッシングベンチャー ナッシングゲイン」をプレー前に何気なく言えたらカッコいいかも。
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