日本人が大好きな高級魚のトラフグが来年以降、海のない内陸部のゴルフ場で、安く食べられるかも知れない。那須小川GC(栃木県)で湧き出る温泉水を利用したトラフグ養殖が来年にも本格出荷が予定されている。
|
トラフグと上海蟹、どちらも来年にはゴルフ場で食べられる。果たしてお味のほうは?
|
那須小川GCのコース内、チャレンジコース5番グリーン脇から硫黄分など不純物がほとんどない塩分濃度1.2%(海水は同3.5%)の温泉水が湧き出る。
その水質に着目した地元企業の「環境生物化学研究所」が同GCの協力を得て、海水魚の養殖を企画。どうせなら高級魚を、ということで2年前からトラフグの養殖実験を始めた。
すると、塩分濃度が適度で、かつ通年で水温が一定であることから、通常より半年ほど早い1年で出荷のできる大きさ(1キロ程度)に育つことがわかった。
「昨年の5月に100匹ほどを水揚げし、地元の関係者を集めて試食会を開きましたが、味は海の養殖フグとほとんど変わらないと好評でした」(同GCの篠﨑暢宏社長)
そこで昨年は新たに1,250匹を養殖。今年6~7月に水揚げし、地元施設と同GC関係で試食会や町おこしとなるキャンペーンを予定。あわせて同GCグループの南平台温泉ホテルの敷地内に大規模な養殖施設を新設し、そこで6,000匹程度の養殖を始める計画という。
「予定通りに進めば、来年5~6月にはうちのゴルフ場やホテルのメニューに加えたいと思います。その際は、できるだけ安価で提供したい」(篠﨑社長)
一方、山形GC(山形県)でも数年前から隣接の休耕田を養殖池として上海ガニの養殖実験を行ってきた。そして昨年、ようやく事業化の目途がたったので、今年は規模を拡大し、4月に3万匹を放流予定。順調に生育すれば10月には出荷したいという。その際には、1匹1,000~15,000円の出荷価格を見込んでいるが、
「ゴルフ場では手軽な値段の料理にしようと思っています」(大場武志支配人)と、こちらもゴルフ場の昼食に供することに積極的。
高級食材はゴルフ場で安く味わう。そんな時代がもうすぐ来るのかも。
|