昨年末から欧米各地は記録的な寒波に見舞われている。アメリカのワシントンでも2月中旬には数日間にわたって雪が降り続き、総積雪量は130センチを超え、111年ぶりに記録を更新した。この記録的な寒波は、アメリカ南部にもやって来た。マスターズを開催するオーガスタGCが、すっぽり雪に包まれたのだ。
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思わぬアクシデントに見舞われたが、グリーン下に敷いた熱湯パイプでひとまず雪はとけた
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オーガスタの冬景色というのは、本当に珍しいようで、米男子ツアーのTV解説者で、30年来オーガスタを見続けている佐渡充高氏も、「この時期の雪は過去に1回あったかどうか」という。
もっとも寒い1月でも平均気温が氷点下を割らないジョージア州では、雪が積もるということ自体めったにないことなのだ。
「ただ、万が一を考えて、オーガスタでもグリーンの下にはお湯が流れるパイプを通す工夫がしてあり、雪が積もってもすぐにとけるようになっています」(佐渡氏)
その除雪システムが作動したかどうかはわからないが、積雪の24時間後には雪はほとんど消えてなくなり、オーガスタの美しい緑の芝が顔をのぞかせたという。
ただし、雪がとけたとはいえ、積雪の影響が残る可能性があると、佐渡氏はいう。
「積雪があったのが、4月のマスターズに向けて、段階を踏んで育ててきた芝を最終的に仕上げていこうという時期でしたから、オーガスタにいる世界最高クラスのグリーンキーパーでもかなり苦労するでしょう。
もうひとつ、それ以上に心配なのが、マグノリアやドッグウッド(花水木)などオーガスタを彩る花の数々。なかでもマスターズのシンボルともいえるアゼリアは土が冷えてしまうと生育に影響が出ます。ホールごとに華々しく咲きほこる花々あってこそのマスターズです。マスターズまでに再び寒波が襲ってきたら、芝、花々が心配です」
“春の椿事”とよくいわれるが、その枠を超えたあり得ない異常気象現象が続いているのが今のアメリカ。
4月8日より開催される大会まであと約1カ月、最高の舞台で最高のプレーを楽しめるよう、今はただ、天候の神様に祈るしかないようだ。
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