女子ツアー第2戦、プロギアレディスで前代未聞の優勝者繰り下げ事件が勃発、物議をかもしている。最終的に判断を下した材料は、中継局がたまたま撮影されていたビデオ映像だった。もし撮影されていなかったらどのように処置されていたのか。
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4時間も前に起こったことを、現場検証。ボールが動いた原因ははっきりわからなかったのだが…
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詳細についてもう一度概要を説明すると、最終日、当事者のパク・インビの1番ホールでの行為が2打罰を受け、優勝のはずが一転して1打差の2位タイになった。罰打の原因は、パクが『お先に』の50センチのパットをしようとしたボールが動いたのに戻さず、そのままプレーしてしまったことだ。
パクのマーカーのウィ・ユンジェ、同伴競技者の中田美枝はそのシーンを見ていなかったが、ボランティアやギャラリーが動いていたのを目撃していた。ユンジェや中田も2番ホールでこのことをボランティアから聞かされていたが、その場では検証せずにプレーを続けた。そして、ホールアウト後のアテスト前に問題となった。
現場検証をし、ボールが動いたことは認めたパクだが、どうして動いたかはあいまいのまま。現場検証に立ち会っていた中田は、「競技委員が『パクの優勝でいいよね』と一度は決まりかけていた」といっている。しかし中継局の録画映像があることが判明し、一転、その映像を確認して2打罰をつけたのだ。映像がなかったらどうなっていたのだろう。
LPGA事務局も「1番に行っても、やはりはっきりしなかったので『疑わしきは罰せず』という方向に動きかけてはいたのは事実。ただ、ビデオで確認したところ2打罰がついたということです」と、ビデオがなければパクが優勝していた可能性を示唆した。
JGTO専務理事で、マスターズなどの競技委員を経験する山中博史氏も基本姿勢は同じだ。
「映像がなければ基本的には選手の言うことを信じます。しかし、話が食い違うこともあるので、選手や同伴競技者、その場にいた人に状況を徹底的に聞いた上で、裁定を下します」という。
言い方はよくないが、LPGAも概ね認めるように、たまたま映像があったため、罰打を受けたともいえる。
さらに、注目選手とそうでない選手の撮られている時間も違うし、そもそもフィールドが広く、全選手の全状況を追おうと思っても無理な話。
公正を期すには、裁定に映像を取り入れることに疑問符を投げたいところではある。
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