例年は閑散としているマスターズウィークの月曜日のプレスルーム、ところが今年は異様な雰囲気に包まれていた。タイガー・ウッズの復帰後、初の公式記者会見となったからだ。
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会場に入れないメディアは外で会見をチェック
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「20年以上マスターズに来ているが、月曜日に来たのは、これが2度目」などという記者がいたと思えば、前日のナビスコ選手権から夜行便で駆け付けたレポーターもいた。
優勝インタビューより人数が多いのではないかという200人を超えるメディアメンバーが集まったのだが、不倫騒動にまつわる話ではこれまで語ったこと以外に核心に触れた内容はほとんど出なかったといえる。
これまでと違った点では、薬物に関する質問も出ていた。以下はそのインタビューのダイジェスト版だ。
「エリン夫人と子どもはマスターズに来るのか? 来ないのならなぜ?」という質問に対して、わずかにタイガーは「エリンは今週来ない」と答えただけ。
「リハビリについて話してくれますか?」に対して、
「45日間リハビリ施設にいて、自分自身を見つめなおした。入る前よりも、出てきた時のほうが、間違いなく良い人間になっていた」と答えたことから、「何のためのリハビリだったのか?」と聞かれると「それは個人的なこと」と、これにも一言答えただけだった。
一番しつこく質問が出たのはドラッグ関係の話で、「ステロイド系のドラッグを処方して逮捕されたアンソニー・ガレア医師が4度も自宅を訪ねていますね?」と聞かれると、
「彼は確かに私の家に来ている。しかし、それはひざなどの治療のためで、より早く治そうと考えて呼んだもの。(中略)彼を選んだのは、多くのスポーツ選手を診ているからで、決して違法なドラッグは使用していない。ガレア医師のことで司法から連絡は受け、協力するつもりだが、まだ具体的に会見の時間がセットされている訳ではない(中略)また、ひざの手術の後や父が他界した時に、市販の鎮静剤などを服用したこともあるし、眠れなくて今も使用することがある」と語った。
「11月の事故にそうした市販の薬が影響していたのか?」との質問には、
「警察が調査して、私が罰金を払い、この件は片が付いている」とし、「すべては弁護士の指示通りに動き、法律の文言どおりに、違法なことは何もしていない」と答えている。
この会見もこれまでの会見同様、厳重な“取材規制”が行われ、インタビュールームに入れるのは1社1名で、わずか4月1日までの3日間の間に、新たな登録を済ませた記者に限定された。
マスターズ委員会のプレス担当者が質問者を指名したのだが、そのほとんどが、タイガーがファーストネームで呼ぶ者ばかり。つまり、突っ込んだ質問がほとんど出なかった。
練習ラウンドでは、子どもにサインをしたり、観客の声援にこたえるなど、「一度すべてを脱ぎ捨て去って」心機一転した印象を与えていたウッズだが、消化不良の態はぬぐえなかった。
いずれにしても、スキャンダルの話は、これで打ち切りにして、皆の眼を試合に集中させたかったというのが、タイガーやマスターズ委員会の本音だったようだ。
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