週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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スタジオアリス３位の中村香織は
「不思議の国」のプロ、元体操の強化選手

　次から次へと新しい顔が登場する日本女子ツアー。今度のヒロインは、スタジオアリスで３位となった中村香織（23）。実は彼女、体操の元五輪強化選手だった異色女子プロなのだ。

五輪強化選手時代に比べたら柔軟力は劣るというが、この前屈はすごい

　今季ツアー出場権のない中村は、今大会はマンデートーナメントを通過しての出場だった。最終日は不安定な天候のなか、１アンダーの71と我慢強くプレー。プレーオフを演じた有村智恵とインビー・パクに３打差の３位と大健闘した。もし優勝すれば、女子ツアー史上初のマンデートーナメントからの優勝という記録もかかっていた。

「ショットが曲がったけど、アプローチ、パットでカバーできました。集中できたし、なんか朝からいいゴルフができる予感がしてたんよね～」
と、軽快な関西弁で話す京都娘。以前プロテストのときのことを聞かれた際にも、「ホテルでダニにかまれて、痒いなかプレーしたことしか覚えてない」と答えるなど、周りのプロからは“発言や行動が不思議な宇宙人”と、いわれる天然系女子プロでもある。

　そんな彼女、実はゴルフをする前の小学生時代、体操の五輪強化選手だったのだ。しかし、骨折など故障が多く体操を断念。その後、親から勧められてゴルフに転向するが、ここでも驚異的な身体能力とセンスの高さを発揮する。なんと始めて半年後にアンダーで回ったというのだ。

　その後、高校時代に関西ジュニアで優勝するなど、エリートコースを歩み、立命館大学に進学。しかし、プロを目指すためになんと休学する。というのも、親からの支援を受けないため、朝はコンビニ、昼はキャディのバイトをして遠征費を捻出するためだったからだ。その甲斐あってか、2007年にプロテストに合格する。

　昨年は31試合に参戦したが最高成績は20位どまり。さらに昨年QTに失敗したため、今季の出場権がほぼない状況だった。そのなかでの今回の結果は、シード権獲得に大きく影響してくるはず。

　緊張するとあくびが出たり、ラウンド中になぜか歌ったり踊ったりすることを告白する彼女だが、普段ほとんど外出せずに家に引きこもっている生活だという。まだ23歳と若いが、歴史や自然が好きで、お笑い系のテレビ番組にはついていけないという。

　物怖じしない、不思議キャラの彼女。次回の優勝争いでも、マイペースに戦えたら、女子プロ界の新たな顔になること間違いないだろう。