先月末、政府予算の無駄使いを公開の場で審査する「事業仕分け」の第2弾が実施された。その初日に話題となったのが独立法人「労働政策研究・研修機構」のキャリアガイダンス事業。同事業ではゴルフ界からも2業種が紹介されていたのだが、その内容を調べてみると。
同機構が行っている労働政策研究事業。その中心はホームページにある「キャリアマトリックス」(職業に関する総合情報システム)の構築と運営で、そこには503もの業種について仕事内容や就職経路、労働条件の特徴など詳細な情報が掲載されている。
同機構ではその情報量と豊富さにおいて「世界的にみても最大級のサイト」と自画自賛する。それで学生らが就職先を選ぶ際に参考にするなど、実際に活用されていればけっこうなのだが……。
事業仕分けの席上で取り上げられ失笑をかったプロ野球のページを開くと、なんと年間の試合数が2006年までの数。いくら膨大な情報でも間違ったものであれば意味がない。
実は、ゴルフ業界からもプロゴルファーとキャディの就職ガイドが載っている。そこで各専門家に中身を検証してもらった。
まずは、ツアーの運営にも詳しいタケ小山プロは開口一番「びっくりしました」。驚いたのは、冒頭から「トーナメントプレーヤーになるにはPGA資格認定プロテストに合格する必要がある」と誤認し、ツアー機構であるJGTOの記述がまったくないこと。
もちろん、今はプロテストを受けなくてもQT(ツアー予選会)からツアープロになれる。さらに小山プロは、
「プロゴルファーがツアープロとティーチングプロの2種類しかないかのように紹介されているのも寂しい限り」
と語る。ゴルフ場支配人など関係分野へのキャリアの可能性も取り上げるべきだろう。
一方、キャディの就職ガイドについては、キャディ教育も担当する株式会社メリージャンクションの前田晴美専務は、
「よくまとまっているとは思いますが、紹介の順序が“運び屋”が主でプレーのアドバイスは二の次のように書かれています。また、楽しい職業であることが伝わらない内容になっています。同種職業にゲームセンターの店員というのも、ちょっと違うと思います」 との感想。
そして、両者とも「これでは事業仕分けで廃止と判断されて仕方ないでしょう」と一致した見方をする。両職種の実状や魅力を知るにはお役所が作った中途半端なガイドではなく、実際の現場に触れるのが一番だろう。
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