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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 6/8号
2010/5/28更新

58の次は予選落ち
日本プロとはなぜか相性の悪い石川遼

 58というギネスに認定されたスコアをマークした石川遼だが、翌々週の日本プロ選手権2日目にノーバーディの78と大叩き。日本プロ選手権の予選落ちは3年連続に。あまりの落差にプロゴルフ協会のコースセッティングに苦手意識があるのでは、という憶測も流れたが……。


58を出した次の試合で予選落ち。この落差が石川の魅力なのか?

 日本プロ選手権が行われた長崎県のパサージュ琴海アイランドGCは、明媚な風光とは裏腹に、海越えなどスリリングなホールが多い。それに加えてラフは深く、大きくうねったグリーンは、公式戦に相応しく硬くて速い仕上がりになっていた。

 石川がセカンドで2発OBを打って「8」を叩き、予選落ちを決定づけてしまった513ヤードの13番パー5は、ティからグリーンまで左サイドOBの左ドッグレッグの打ち上げのホール。多くの選手が2オンを狙わずレイアップする選択をしていた。

「届く距離ならピンを狙う」のが身上の石川にとっては刻みは論外。果敢に攻めての玉砕だったのだが、石川と同組でプレーする機会が多い山下和宏は、その攻めをこう解説する。

「僕らは予選通過を考えてしまいますが、石川選手の場合は、いつでもバーディをガツガツ取りに行き初日から優勝しか狙っていないように見えます。もちろん、曲げてもリカバリーが非常に上手い選手ですけど、今回はコースが狭くて、グリーンが超トリッキーでしたし、OBではどうにもなりませんからね。コースが合わなかったということでしょう」

 曲げて林に入れても、ピンチをチャンスに変えるミラクルショットで切り抜ける場面をたびたび見せて来た石川だが、今回のコースでは、そんな攻めの姿勢が裏目にしか出なかったということだろう。

 テレビ解説をしていた牧野裕は石川の好不調の原因をこう見る。
「コースに対する苦手意識はなかったと思います。強いていうなら、パサージュ琴海に対する用意周到な下調べができなかったことでしょう。中日クラウンズで58を出したのも、日本プロで78を叩いたのも、両方とも打ちたい所へ打っていく。自分が気持ちいいゴルフしようという石川遼のゴルフなのです。苦い経験を重ねると保険をかけるゴルフになるものですが、そういうゴルフを石川選手に求めるとゴルフが小さくなってしまいます。18歳という成長の過程のなかで、たまたまいいプレーができなかったということです。予選落ちした悔しさが次への経験になります」

 牧野が指摘するように、石川は、日本オープンなど未体験のコースでの大会に臨むときは、空き週に足を運んで下調べをすることがよくあった。それが2008年、2009年と2年連続の日本オープンでの優勝争いにつながっているし、開催コースを変更しない大会では連続の予選落ちも少ない。

 だが、5月開催の日本プロ選手権では、マスターズまでほぼ海外遠征に出てしまうため、下調べに費やす時間もなかったのが実情だ。

 来年の日本プロ選手権は、兵庫県の小野東洋GC。丸山茂樹のキャディを務める杉澤伸章氏は、
「超高速グリーンでもラインを殺してズバっと入れてくるのが石川選手の強味。速くなればなるほど彼にとって有利でしょう」
という。小野東洋といえばグリーンコンディションでは定評のあるコース。今年の予選落ち経験を踏まえて、来年はジャンプアップした姿を見せてくれるに違いない。

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