ボールはあるがままが、ゴルフの大原則。だがツアー競技でも、コースの状態次第では“プリファードライ”と呼ばれる、ボールをマークして拾い上げ、泥などを拭き取り、元の位置に戻してプレーするルールが存在することがご存知だろうか。
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横峯さくらもたびたびピックアップしていた
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先月行われたヨネックスレディスの大会期間中、このプリファードライの競技特別規則が適用され、ボールの拾い上げが認められた。つまりそれだけコースコンディションがよくなかったということになる。
だが、試合中、選手達の間から不満の声はあまり出なかった。コースのある新潟県で異常気象が続いたこと、そして大会側も懸命のコース整備を行ったことが選手に伝わっていたからのようだ。
このプリファードライのケース、ほかのツアーではどう対応しているのだろうか。メジャーの舞台で競技委員を数多く務め、海外ツアーに詳しい日本ゴルフツアー機構(JGTO)山中博史専務理事に聞いてみた。
「JGTOでもプリファードライを適用することは少なくありません。雨などで誰が打ってもボールに泥がついてしまうときや、芝の張替えなどで明らかに他のホールとコンディションが違う場合などです。ツアーでは、ゴルフの基本である『ボールはあるがまま』という競技の部分と、プロの技術を見てもらう部分があるので、そのバランスですね。
アメリカではショー的要素の部分が強いのか、比較的すぐにプリファードライを採用する傾向にあるようです。また、プレースする箇所についても、USGA管轄の米ツアーなどでは、1クラブ以内、R&A傘下といわれる日本やアジア、ヨーロッパなどでは6インチが基本になっています。
メジャーの場合、何年もかけてコースを整えているうえ、フェアウェイを硬く締めているので、プリファードライが適用されるケースはそれほど多くはありません。また、マスターズだけは、USGAでもなくR&Aでもない、マスターズ委員会によって取り仕切られているため、『プリファードライなどのルールを適用しなければならないくらいなら、競技を行わない』という方針を打ち出しています」
プロのよりよいプレーを公平に見せようという観点からは、プリファードライの適用も仕方のないことなのだろう。ただし、これはローカルルール。あくまでも『ボールはあるがまま』が原則ですけどね。
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