今シーズン、ドライバーが好調の片山晋呉。昨年1年間のドライバーの平均飛距離は279.8ヤードだったが、今年は15ヤード近く上回る293.1ヤード(ランキング8位・6月4日現在)を記録している。今年37歳の片山の飛距離アップの秘密は3色に塗り分けられた長尺シャフトにあった。
|
手元側から緑、黄色、シルバーと順に薄くなっている
|
片山が使っているドライバーのシャフトは、グローブライドの『ロッディオM-6』(フレックスX)の46.5インチ。男子プロのなかでも長い、この長尺シャフトが片山の飛距離アップに大きく関係していることは間違いないが、面白いのは、そのシャフトが手元から緑、黄、シルバーの3色に塗り分けられていることだ。
「3色シャフトの発想は片山プロ本人。長いシャフトを視覚的に長く感じさせないようにすることが目的で、片山プロ自らが、さまざまな色を組み合わせたり、色の幅を変えてみたりと、1年以上の時間をかけて編み出した結果が、あの3色のシャフトになりました」(グローブライド ゴルフ営業部・増本嘉伸氏)
片山本人によると、スキーのストックの色を塗り分けることで短く見せるということを知って、これをゴルフに応用してみたそうで、
「長いシャフトを使うとボールが小さく見えてしまう。これがイヤだった。色の組み合わせを何十通りも変えてみて、いちばん短く感じられたのが緑、黄、シルバーの3色」だった。
「それこそ色の組み合わせ、色の長さなど、何10本もの試作品を作りました。プロがリードしてうちがお手伝いするということでした」(増本氏)
昨年春からテストし始めた3色シャフトを本格的に使い始めたのは、今年4月のマスターズから。それ以後は、ドライバーの好調さをずっとキープしているところを見ると、その心理的な効果は見逃せない。長いシャフトは飛距離が伸びるが、その反面振りにくさも生じる。それが、短く感じられれば思い切って振ることができる。この思い切りの良さが飛距離アップにつながった。
この考えはほかのメーカーにも取り入れられている。シャフトの中央に模様を入れることで長さを感じさせなくした「新・ゼクシオ」や、重心をイメージして振れるようにヘッド上部にターゲットアイなる模様をつけた「Vi-Q」など、今や“感性工学デザイン”が取り入れられたゴルフクラブが人気になっている。
異能プロがゆえに到達した3色シャフト。形や色にこだわるクラブは今後も増えそうだ。
|