京都産の米に付着したカビから高脂血症薬が作られたり、長野県の土壌から結核治療薬が作られたりと、新たな医薬品や食品などの開発には自然界に存在する菌類やカビなどの生物種の遺伝子が活用されるケースが少なくない。そんな医薬品がゴルフ場の土壌から作られていた。
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川奈ホテルGCの土が新薬開発に役立った
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環境省では、それら利用価値の高い国内の生物種の遺伝子、いわゆる遺伝資源をデータベース化し、2012年からの運用開始を目指すとしているが、その活用例の中にゴルフ場が関わっているものがあった。
フィラリアの一種、糸状虫がブヨなどの介在で発症する、オンコセルカ症という病気の特効薬イベルメクチンがそれで、これが川奈ホテルGC(静岡県)の土壌から分離した放線菌をもとに開発されたというのだ。
大村智北里大学名誉教授が川奈ホテルGCで1973年に採取したもので、これもデータベースに登録されるという。 「土壌には微生物が多いので、昔からゴルフに行くたびにそこの土壌を採取してきて調べました。その結果、生まれたのがイベルメクチンであり、今ではオンコセルカ症の特効薬として有名になりましたが、もともとは世界中で一番売れている動物向けの駆虫薬なのです」(大村名誉教授)
ゴルフが大好きだという大村名誉教授、いまでもゴルフの際は必ず土を持って帰って分析するという。ゴルフ場の土が新薬開発に役立つとは、われわれの知らないところでゴルフ場が生活に役立っているのだ。
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