トーナメント中継で、よりライブ感を全面に打ち出すために、米女子ツアー(LPGA)と今年5月から10年の放映権契約を結んだゴルフチャネルは、ラウンド中の選手にインタビューする『ウォーキングトーク』という試みを始めた。
ウォーキングトークとは、なんと試合中の選手にラウンドレポーターがインタビューするという形式だ。実はこれまでにも、米男子の2部ツアーのネーションワイドツアーや、米シニアのチャンピオンズツアーで行われたことはある。
しかし、米女子ツアーでは初めての試み。昨今、流行のツイッターのように、短い言葉でプレーヤー自身が考えている“今”を視聴者に届けようという発想である。
テレビを見ている人にとっては、選手の心理や攻め方の意図など、解説者の憶測抜きで聞くことができるのだから、より中継を楽しめる趣向ではあるが、インタビューされる側は、大事な場面で集中力をそがれる恐れも当然ある。
そこでゴルフチャンネルは、事前に選手の了解を取りつけ、さらにインタビュアーには、どんなタイミングで声を掛けていいのか選手の気持ちがわかるであろう、元LPGAの選手であるビッキー・ゲッツ、バル・スキナー、ケイ・コクリルなどを起用して幾分か選手への配慮を考えている。しかし、今回の全米女子プロ選手権では、トップを独走するクリスティ・カーからは、インタビューを了承してもらえなかった。
LPGAは、今回のウォーキングトークとは別に、テレビ中継のために特定の選手にピンマイクをつけてラウンドしてもらう『マイクドアップ』という企画を昨年のコーニングクラッシクから行っており、これも試合を選んで今後も続けて行くという。
実はかつて日本でも湯原信光が『マイクドアップ』を行ったことがある。フジテレビのプロ野球ニュースでキャスターを務め、その番組のためにフジサンケイクラシックでピンマイクを着けてプレーしたのだ。
「僕の場合は自発的に解説。しかし、インタビューとなると、タイミングとか内容によっては難しいでしょうね。たとえば前のホールでのミスショットについて聞かれても、忘れて断ち切りたいと思ったりしていますからね。
でも、トーナメントは競技である一面、プロスポーツとして興行でもあるので、お客さんに喜んでもらう必要もあるし、そういうことを踏まえて、いろいろな試みをするのはいいことだと思いますね」(湯原信光)
プレー中の選手のツイ―ト(つぶやき)は日本でも聞かれるようになるのだろうか。
|