練習場を拡大するため、古墳のある山の斜面を無許可で削ったことが問題化した奈良県の秋津原ゴルフクラブで新たな局面が生まれた。前支配人ら関係者が書類送検される見込みとなったのだ。
奈良県警が、同GCの前支配人(60歳)、ゴルフ場の経営会社である(株)秋津原、それと工事を担当した(株)葛上建設の社長(65歳)を文化財保護法違反(現状変更)容疑で奈良地検葛城支部に書類送検する方針を固めた。
問題が表面化した後、同GCで7月に開催が予定されていた奈良県オープン、9月開催予定だった日本プロシニア選手権が相次いで開催中止(茨城県・笠間東洋GCで開催)となるなど問題が大きく広がったが、県警がこの間、関係者の事情聴取を行ってきたところ、前支配人、経営会社、建設会社社長らに違法性の認識があった、と判断したもの。
また、詳しく調べたところ、昨年の7月に倉庫を建設した土地も文化財のエリアを侵している部分(約40平方メートル)があることが判明。そちらのほうも合わせての書類送検となる。
この書類送検によってどのような罪に問われることになるのか。ゴルフ場の法律問題に詳しい宅島康二弁護士は、
「文化財保護法の107条によると、よその人の所有地ではなく、ゴルフ場の所有地ですから罪は軽くなり、〈2年以下の懲役もしくは禁錮、または20万円以下の罰金もしくは科料〉となります。これまでの判例から見て、おそらく略式起訴で罰金刑になるのではないでしょうか」と言う。
問題の、削った山の斜面はこの5月に斜面の土砂が流れないように仮復旧工事は終わったものの、
「夏前の大雨で土砂が流れ出た箇所が出てきました。6月30日に〈史跡巨勢山(こせやま)古墳群復旧委員会〉を立ち上げ、本年度内に復旧工事方法を決め、来春の工事着工を目指してます。着工までに時間がかかるのは、どのような工事をすれば元の状態に戻すことができるか、斜面だけに非常に難しいからです」(御所市教育委員会文化財係・木許守係長)
もちろん、工事にかかる費用はゴルフ場の全額負担となる。
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