先の米ツアー、ウィンダム選手権(8月19~22日)で米ツアーとしては初めてのインド人プロ、アージュン・アトワル(37)が優勝した。インド人としての初の米ツアー優勝というばかりでなく、記録の残る1986年以来のマンデートーナメントから勝ち上がっての優勝でもあった。
初ものづくしという点では、アトワルは、インド人として、ヨーロッパツアーで初めて勝利(2002年シンガポールマスターズ)を飾っているし、2003年には高校時代2年間を過ごしたアメリカで、インド人として初めて米ツアーのメンバーにもなっているのだ。
昨年は、肩の故障でほとんどプレーができず、ツアーカードを失ったが、今季はAT&Tナショナルの初日にトップタイになるなど、復調の兆しを見せていた。
それが、ウィンダムのマンデーで、「それまで一度も、練習にも使ったことがなかった」(アトワル)ピンS56アイアンを初めて使用して、マンデーを通過したばかりか、初日に61というスコアを出して、トップに立ち、そのまま逃げ切ったのだ。
もっとも、使用クラブで言えば、ドライバー(テーラーメイドのバーナー・スーパーファスト)のショットが今回の勝利をもたらしたという評価が高い。というのも、この試合、アトワルは、平均300.4ヤードを飛ばしながら、80.4%というフェアウエイキープ率をマークしているからだが、それでも本人にすれば、アイアン効果を勝因にあげている。
最終日は混戦だったが、前日に友人のタイガーから「22アンダーを出せば優勝できる」とのメッセージをもらい、D・トムズやJ・レナードの追い上げを振り切って優勝した。タイガーが住んでいる地域のゴルフ場・アイルワースのメンバーで、その関係でタイガーとは親しい。タイガーの謹慎後、ツアー復帰にあたってメンバーの1人と練習ラウンドを一緒にしたことが報じられたが、これがアトワルだった。
日本のツアーには、参戦していないために、ほとんど知られていないが、コーチはジーブ・ミルカ・シンと同じサム・フロスト(プロのデビッド・フロストの兄弟)で、アトワルはヨーロッパツアーでは、シンと同様に3勝している。
米ツアーのメンバーではないために、「プレーオフシリーズ」には参加できないが、アトワルの優勝は、ますますグローバル化が進むゴルフ界を象徴しているようだ。
|