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クラブを換え、プロ意識も芽生えたのがビッグサプライズになった
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宮里藍、横峯さくらと同学年、同期プロ入りで、ジュニア時代から2人を追走してきた藤田幸希が、先日の日本女子プロ選手権でツアー6年目にして初のメジャータイトルに輝いた。これまで年1勝どまり、賞金ランキングも24位が最高位だった彼女が、今季は目下3位と、ブレーク寸前の勢いなのだ。
藤田幸希(24)のゴルフを語るとき欠かすことのできないのが、父親・健さんの存在だ。健さんはトップアマで、幸希のコーチ。幸希は健さんのゴルフを追い求め、ツアー屈指のパラフルなプレーヤーになった。
168センチの恵まれた体格に、ムラっ気はあるが、明るく、アグレッシブなゴルフで周囲の期待は大きい。ところが、一見奔放なイメージの彼女も、実は「両親に恩返ししたい」という思いが強く、頑張りすぎる傾向があった。それと持ち前の“男性的な”ゴルフが災いし、故障が絶えなかった。
そのために「昨年、故障続きで思うゴルフができないときに、お父さんに真剣に『ゴルフを辞めたい』と訴えたことがありました」と語るのは用具契約のマグレガージャパン・松下健氏だ。
そのことがひとつの転機になった。「それまでは男子プロと同じスペックを使っていたのですが、体のことを考え、昨年終盤からは一般男子のハードヒッター向けのスペックです」(松下氏)。同時にロングアイアンを抜き、ユーティリティを入れた。
さらに、今シーズンからは、常に同行していた健さんが一歩引き、たまに応援に来る程度に。この状況を藤田幸希は「私はまったく親離れしてないけど、父は子離れしていきました」と自嘲気味に語るが、「最近はプロ意識が生まれ、何事も自分で考えるようになりましたね」(松下氏)と周囲は成長を認める。
「日本女子プロでも最終日は、メジャーで優勝争いできることを楽しみたいと言ってました。今年はシーズン当初から結果に一喜一憂せず、安定感があったので優勝は近いと見てました」と藤田のマネジメント担当者。
コース上では相変わらずキュートな笑顔を見せる藤田だが、内実はいつの間にかすっかりオトナになっていたようだ。
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