先週は中国・内陸部の都市で反日デモが相次いで発生し、今後の両国間の懸念材料になった。西安市にあるミズノの直営店も店内が破壊され、商品が奪われる被害にあった。中国国内ではクラブヘッド製造など日本のメーカーがさまざまな活動を行っている。今後に不安はないのだろうか。
デモ隊に襲われたミズノのショップが破壊された模様がテレビでも紹介されていた。気になる被害の規模や今後の予定を同社に尋ねたのだが、「現在、当社から発表できることは何もありません」(広報)とのこと。
ただし、スポーツ店に並ぶ商品のなかでもゴルフクラブはとりわけ高価だが、西安店ではゴルフ用品は扱ってなかった。その分は被害額も、まだ小さく済んだといえそうだ。
しかし、同社は現在、中国全土に約570店のショップを展開(うち直営店は約4割)している。内陸部でのデモが今後も続くとなると、標的にされる不安はぬぐえないだろう。
一方、日本のゴルフ業界とのつながりという点では、沿岸部の広州のクラブ製造工場のほうがより密接。多くの工場が日本メーカーのクラブを製造しているからだ。
「現地に問い合わせてみましたが、ここでは反日デモが波及する不安はまったくないようです。それよりも、1~2年前から続いている賃上げ要求のストライキが、いつどこで起きてもおかしくない状況です。
もともと人手不足の上にストライキが起こったら、クラブ製造の計画が立たなくなってしまいます」
と語るのは、製造を発注しているチームヨシムラの吉村忠義氏だ。
広州のクラブ工場の多くは台湾資本だが、最近は人件費アップなどから赤字経営となり、工場を台湾に戻す動きが見られるという。
“世界の工場”の中国頼みでなされてきたクラブの安定供給も、今後は反日デモ同様、解決が模索される問題になったようだ。
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