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シート・ラッピング製法全盛のカーボンシャフト市場で、組みひも構造はユニーク。コストがネック
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京都の伝統工芸のひとつに組みひもがある。わかりやすくいえば女の子の三つ編みと同じだ。その伝統工芸を応用したゴルフクラブのシャフトが来春にもデビューしようとしている。
開発を進めているのは、「京都工芸繊維大学伝統みらい教育研究センター」のセンター長・浜田泰以教授。同センターの目的は「今考えられる技術と先人たちが残してきた知恵との複合化によって、新しいものづくりに応用するための研究を推進すること」にある。
そのひとつとして浜田教授が注目したのが組みひもで、この構造を応用したカーボンシャフトを試作した。完成したのは70グラム近くあってやや重め。
「それでもテストしたら、多くの人から『気持ちがいい』『和む』という答えが返ってきた。力のない人でも気持ちがいいので重さを感じないという」
約10年前、ミズノが同じ構造を採用したシャフトを「T・A・B・C・」というモデル名で商品化した(現在は受注生産だが注文はゼロ)。浜田教授もこのことは知っているが、それをさらに進化させ、使いやすくしたものだという。実際、構造は同じでも繊維の太さや編み方の密度などはまったく違う。
「最大の特徴は剛性分布がスムーズで、しかも部分によって剛性を自由に制御できること」
組糸の角度を部分的に変えることで、たとえば先端を硬くしたり手元を硬くしたり、設計の狙い通りにできるのだという。
「気持ちよさは、軟らさやインパクトの衝撃が伝播する周波数などが影響していると予測されますが、詳しくは分析中です」
クラブ設計家の山代谷哲男氏は、
「気持ちよさはしなりがスムーズなこともあるのでは。継ぎ目がないので全方向に均一にたわむのもメリット。ミズノのモデルは硬くて重いという印象だった。そのあたりが解消できていれば可能性はあるでしょう」という。
製造を担当している圓井繊維機械の圓井良社長は「製造上コストがかかるので、現在の最高価格帯レベルになりそう」というが、先人の知恵が飛びにどこまで寄与するか注目したい。
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