先日終了したマイナビABC選手権のグリーンが、速さの指標であるスティンプメーターで13.5フィートを記録、これは今季ツアー最速グリーンとなるのは間違いない。
開催コースのABCゴルフ倶楽部の善坊馨支配人は超高速グリーン導入の背景について、
「最近はアンジュレーションが強いグリーンでの試合が多いが、ABCは大きくてフラットなグリーン。特徴を出すため、高速グリーンに仕上げようと数年前からやってきた。その結果、去年の最終日には14.5フィートの速さが出て、谷口徹プロなどからマスターズよりも速いというコメントももらった。今年も14.5を目指したが、雨で13.5止まりとなり残念だ」という。
晴れていれば14.5フィートだったというこのグリーンの速さについて、メンテナンスを担当したグリーンシステムの北野修身社長は、
「一般営業は8~9で、通常のトーナメントが12として、例えると一般営業が毛足の長い絨毯で、通常のプロの試合は普通の絨毯。それが14になるとギッシリと目の細かい、毛足が短く揃ったベルベットの絨毯という感じで、球がよれずに真っすぐにスーッと伸びる。ラインに乗ったらバンバン入るけど外れたらどんどんオーバーするという、ものすごく公平なグリーンだ」という。
このような高速グリーンを作る条件を北野氏は、
「(1)芝の芽数の細密性と均一性、(2)1本1本の葉先の細さ、(3)グリーン面の起伏が少ない、が条件になる。ABCの平らなグリーンという条件に(1)、(2)の技術が重なり、高速グリーンが実現した」と説明する。
マイナビのテレビ解説だった金子柱憲は今回のグリーンをこう評した。
「これまでは太平洋マスターズのグリーンがNo.1の印象が強かったが、マイナビが抜いた感じだ。オーガスタのグリーンは傾斜の強さで転がりが速くなるのに対し、芝のカットによるならABCのほうが速いだろう。試合展開もグリーンに左右された。優勝したキム選手はずっと大胆なパットが打てず、最後は石川遼選手に逆転されそうな展開だった。それが17番で長いパットを入れ、優勝を引き寄せた」
前述の善坊支配人は「来年も14.5を目指します」というから、超高速グリーンをプロがどう攻略するか、今から楽しみだ。
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