新年早々、ゴールドマン・サックスグループ(以下、GS)が、保有するアコーディア株式全株を売却し、親会社ではなくなることが明かになった。GSが和議再建中だった日東興業のスポンサーに就任してから9年5カ月。ファンドは3年から5年で保有株を転売する、という常識を覆しての長期保有。なぜ今売却なのか。GSが親会社ではなくなると、アコーディアの経営方針は変わるのだろうか。
今回GSが売り出すのは、発行済み株式総数の44.7%。2006年秋の上場の際に売り出した分の残り全部だ。
ファンドとしては異例の長期保有になった理由は、
「上場時の公募価格は19万5,000円だったのに、上場後株価は下落一方。そこにリーマンショック。ファンドの投資家としては、何も市場環境が史上最悪の時期に換金しなくても、という判断になる。タイミングを待っていて、この辺が潮時と思ったのだろう」
というのが証券界の大方の意見だ。
リーマンショック後の最安値は4万5,900円だが、今は8万円弱まで回復している。とはいえゴルフ場ビジネスを取り巻く厳しい環境を考えると、これ以上待っても大きく回復はしない、という見方だ。
今回、アコーディアはGSとの業務提携解消も発表している。初期の頃は借地契約が不完全なコースなどはGSが取得し、露払いをしてからアコーディアに渡すなどをしていたが、ここ数年はアコーディアが直接取得しており、「当初の目的は既に達成済み」というアコーディア側の主張どおり、提携解消の影響はまずなさそう。
資金調達面では上場直後に“自立”。既に何年も前に“親離れ”は済んでいる。
気になるのは今後。GSという利潤追求にシビアな大株主がいなくなり、とかく「ビジター重視」といわれる運営方針は変わるのか。ここ数年は収益目標に達しないコースを少しずつ売却してきたが、売却は加速するのか、あるいは減るのか。
「これまで大株主(GS)から運営について直接指示を受けたことはない。会員向けのサービス充実にも努めており、ビジター重視のつもりはまったくない。今後も運営方針、コース売却の方針ともに従来どおり」(アコーディア)だという。
経営に意見を反映させたい会員は、売出株式の公募に応募し、株主として主張をする手もあるかもしれない。ちなみに、金融商品取引法で禁止されているので、アコーディアが会員に応募を呼びかけることはない。
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