週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

降灰と風評…
霧島・新燃岳噴火で周辺ゴルフ場が受けた深刻な被害

　1月26日に本格化した、宮崎・鹿児島両県境にそびえる霧島山系・新燃岳の噴火が長期化の兆しを見せ、周辺ゴルフ場に深刻な被害をもたらしている。

　新燃岳の南東側に位置し、今回もっとも降灰被害の大きかったリージェント宮崎CCの桑原支配人はいう。
「最初の噴火で、グリーン上に５ミリ近い灰が積もり、その除去作業に３日間も追われました」

　積もった灰はわずか５ミリだが、同CCのグリーンの広さは平均して1,000平米あり、それらの灰を全部掻き集めると大型ダンプカー２台分となり、18ホール合計で36台分に達したという。

「しかも火山灰は重くてブロワー（送風機）で簡単に吹き飛ばせない。だから、まずほうき状のトンボでおおまかに掻き集め、その後スイパー（吸い取り機）で吸い上げ、最後にブロワーで吹き飛ばすという手間のかかる作業を強いられました」

　結局、従業員総出で作業に当たり、駐車場やクラブハウス周りの整備も含めて、３日間クローズにしてオープンにこぎつけた。

　が、オープンしても悩みのタネは尽きない。連日、テレビで報道される被害状況を見たお客から、予約のキャンセルが相次いでいるのだ。キャンセルは降灰被害のないゴルフ場でも起きている。新燃岳の北東側に位置するゴルフ場の支配人は声を落として呟く。
「うちのコースは新燃岳の風上に当たるので、降灰の被害はほとんどゼロ。グリーンもフェアウェイも、プレーにはまったく支障ありませんが、東京や韓国からのツアー客が全部キャンセルになりました」

　むろん地元の人たちの出足も鈍り、噴火後の最初の週末に当たる29～30日の入場者は例年の３割程度にとどまったという。
「あれだけテレビで連日、降灰の様子を報道されたら、誰でもゴルフどころじゃないという気になります。高速道路が一部通行止めになり、宮崎空港が一時閉鎖になった影響もあるし、一種の風評被害ですよ」

　ゴルフ場にとっては降灰の実害もあるが、風評被害もあるということ。とはいえ、2月1日現在、火砕流の危険も指摘されている。当該エリアでプレーするゴルファーに望まれることは、十二分に注意を怠ることなくすることだろう。そして一刻も早く噴火が収まることを願いたい。

　
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