米女子ツアーメジャーのクラフトナビスコでステーシー・ルイス(米)が世界ランク1位のヤニ・ツェンを逆転しツアー初優勝を飾った。この勝利の裏に、涙なしでは語れない秘話があった。
ルイスが脊椎側湾症と診断されたのは11歳のとき。健康診断で背骨が横方向に曲がる同病が発覚したのだ。以降7年半、1日18時間背骨の矯正を目的とした頑強なコルセットをはめる生活を強いられる。そして高校卒業と同時にリスクを背負って手術を受ける決意をする。
それは「もう2度とクラブを握れないかもしれない」という恐怖との戦い。チタン製のロッド(棒)と5本のスクリューを背骨に埋め込む手術は想像以上に過酷なものだった。術後は「内臓をあちこちに動かされて、体中を引っ掻き回され、考えられないくらいの激痛」を味わった。
痛みを和らげるための薬の副作用で吐き気が止まらず体重は10キロ以上減り、ゴルフを再開するまで9カ月もリハビリした。だが再びクラブを握り緑の芝の感触を確かめた瞬間すべての苦労は吹き飛んだ。「感謝の気持ちしかなかった」とルイスは言う。
2008年のQスクールではミッシェル・ウィら強豪を抑えてトップ合格。その後何度か優勝争いを演じ「勝つのは時間の問題」と言われてきた。そしてプロ3年目の今季初メジャーで遂に卓越した才能と難病に打ち勝った精神力が実を結んだ。
アメリカ期待の26歳が大輪の花を咲かせるのはこれからだ。
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